津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

1970年後半ジャンプ打ち切り漫画紹介 スケ番あらし ブルーシティー 万年雪の見える家

こんにちは、津尾尋華です。Twitterでジャンプ打ち切り漫画の紹介などをやっているのですが、今回時系形順にそれをまとめていこうと思いブログを作りました。

 

WJ連載漫画で三巻完結以内のものを対象に1980年から現在までの打ち切り漫画を取り扱っています。(明らかに1巻で終わる予定だった鳥山明先生のサンドランドやCOWA、高橋和希先生のCOMIQなどは除外してあります)

 

さて1980年以前にも少し触れておこうと思うので、初めは1970年代についてなんですが、流石にこの時代の作品は収集が追いつかないので一部のみ取り上げています。

 

ジャンプの創刊自体が1968年。70年代は黎明期。
男一匹ガキ大将トイレット博士アストロ球団ハレンチ学園マジンガーZ、プレイボール、包丁人味平ドーベルマン刑事サーキットの狼などが人気を博し、70年代後半になって東大一直線リングにかけろキン肉マンコブラこち亀など80年代黄金期に繋がる連載が始まった頃です。

 

ちなみにこの頃の各少年誌は
マガジンが60年代にあしたのジョー巨人の星、70年代前半にタイガーマスク男おいどん釣りキチ三平、後ろの百太郎、デビルマン70年代の後半に1.2の三四郎、凄ノ王、翔んだカップルなどの連載が始まった頃。梶原一騎原作が多数載っていました。

 

サンデーは60年代に伊賀の影丸、おそ松くん、オバQパーマン21エモンジャイアントロボ天才バカボンもーれつア太郎の、横山光輝藤子不二雄赤塚不二夫に、70年代前半には楳図かずおがアゲイン、漂流教室、マコトちゃん、水木しげるゲゲゲの鬼太郎、他にも男組、プロゴルファー猿、がんばれ元気、うる星やつらサイボーグ009巨匠が多数ながら新しい芽も出てきています。うる星やつらが70年代の後半。ぶっちぎりで新しい感じがします。

 

チャンピオンは70年代前半にバビル2世、恐怖新聞ドカベンブラックジャックがきデカ、70年代後半に750ライダー、マーズ、マカロニほうれん荘が開始です。ブラックジャックより先にスタートしたドカベンが2018年までドリームトーナメント編をやっていたのに割と衝撃を受けます。

 

さて、では4大少年誌の発行部数はこの頃どうだったのでしょう?1番売れていた雑誌は?

 

ジャンプです!
1971年に発行部数が100万部突破。1973年には当時首位だったマガジンを抜いて首位に立つと、1979年には300万部近くを売上、200万部のチャンピオン、サンデー、170万部のマガジンに大差をつけ、1997年にマガジンに抜かれるまで四大少年誌のトップを走り続けます。(一応チャンピオン黄金期の1978年にチャンピオンが一位になっていたという話もあります)

 

1970年後半は売上トップから黄金期に向かう時期。ではその頃の打ち切り漫画を見てみましょう。

 

⚪︎スケ番あらし 全2巻 車田正美 1975年

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喧嘩好きで男勝りな荒神山麗のクラスに東京から大財閥の娘で容姿端麗学業優秀なお嬢様、綾小路静香が転入してくる。静香は人をいいなりに使おうとする尊大な娘だった。

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リングにかけろ聖闘士星矢男坂と、少年の生き様を描いた車田先生の珍しい女性主人公もの。とはいえ、喧嘩っ早くて短絡的、調子に乗るけど面倒見がよくて強いというキャラ造形はまんま男性主人公、車田作品では香取石松に近いキャラメイクです。

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冷たい家庭で育ち、人と接することに不器用で、上から対応してしまう静香と裏表ない麗。互いに惹かれるところはありながらも、温かい家庭を持つ麗に憎しみを持つ静香。対立していく2人。

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運動だけが得意の麗に、そこですら上回る実力を見せつける静香。
決定的に対立した2人は、ローラー部対サッカー部の対決でケリをつけることになります。

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外人部隊相手に1ページでやられるサッカー部。4の字固めとヌンチャクで戦うサッカーとthat's荒唐無稽が続きますが、最終的に麗1人で外人部隊を倒し、後半登場した静香がオーバーヘッドを繰り出し各の差を見せつけます。このあたり金持ちの天才と努力の貧乏人の構図はリングにかけろにも引き継がれます

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試合は圧倒的大差で静香が勝利し、麗に恥をかかせるために裸に剥く処刑が始まりますが、見学の学生達が立ち上がり、綾小路の横暴に反旗を翻します。いうほど麗以外に対しては悪いことやってない気がするんですけどね…。まあ言ってることは大概だけど。


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試合が終わり、次の日に仲直りしてエンド。話のまとめ方が雑ぅ!まあもともと惹かれてる描写はありますが、互い友達になりたいと思っていても、今後も食い違うんでしょうけど、この辺りは次作でスーパースター剣崎順と菊(竜児)の関係に上手く昇華したと思います。時代が時代だけにアラは目立つ作品でした。

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⚪︎ブルーシティー 全1巻 星野之宣 1976年

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人口増加により実験的に海底都市ブルーシティーを作った矢先、地上の生き物は宇宙からのウイルスにより絶滅の危機を迎える。ブルーシティーの人々は次々と起こるトラブルに立ち向かいながら人類の生存を目指していくという硬派海洋SF。

 

地上で死にたいと帰ろうとする人々、500mを超える海洋生物の来襲、生き返って襲いくるゾンビ、シティの核融合炉を狙うテロリスト、海棲人類に変化するゾンビ、人類滅亡の黒幕のマッドサイエンティストと世界から戦艦を集めて作ったその麾下の凍結艦隊。と濃密な展開で評価も高く、後に前日譚、続編もつくられました。

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人類が生存不可能になったと考えられた時に発動する人類抹殺システムのスイッチ人類自決指令とか、そんな危険なシステム誰が運用するんだよとか、海中都市まで作って存在が見つかってない海魔の突然の登場などご都合主義ではありますが、少年漫画らしいハッタリは効いています。

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星野之宣先生は同時代の諸星大二郎先生と並んで高い評価を受けながら、大人向けすぎてジャンプ向きでない作風からジャンプを離れてしまった作家なのですが、ブルーシティーは、まだ、少年向けの甘さを残しつつ、後の硬派SF作家の片鱗も見せるという美味しい作品になっていると思います。

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⚪︎万年雪の見える家 全2巻 本宮ひろ志 1979年

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本宮版「北の国から」全国5位の秀才で運動神経抜群、性格もいい12人家族7人兄弟の長男大地が、父親の入院、母の出産、妹のレイプ未遂、父の失業、住居の喪失などの苦難を味わいつつ、北国での生活をおくる。

 

本宮には珍しい知性的な主人公。70年代の享受の時代が終わり、80年代は地に足をつけ自分で生活を切り開くことを重視するというテーマ。前作さわやか万太郎とも趣がかなり違い、男一匹ガキ大将の大ヒット後、色々と模索していたのか、売れなくても言いたいことをいう漫画を描いたのか、どちらもありそう。1980年の休筆宣言の直前の作品です。

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