⚪︎コスモス・エンド 全2巻 トム笠原 1982年
書影はボムコミックス版
銀河系の中心に至ろうとする人類の探査船は出航直前に100年前に遭難した宇宙船と遭遇する。残されたデータには銀河系の爆発の映像と出発を早める警告が入っていた。ビックバン及び銀河の消滅を止める為に乗組員は力を尽くす。
星野之宣テイストな硬派SF。打ち切りではなく短期集中連載だった模様。
銀河系中心のギンヌンガ・ガップを目指す中、暗黒星雲の出現や、滅んだ異星人の攻撃、戻りたい仲間の裏切りなどのトラブルを超え銀河の終焉(コスモスエンド)を止められるのか?
誰がこれを仕組んだのか?
100年前に遭難した船乗っていたのは未来の情報を知る壮年の男。冷凍睡眠の跡もない。
SF的には光速移動か、銀河中心のブラックホールで何かあったかと疑うところ
ただ、魅力的なSF的謎の提示だけでなく、事件がたたみかけるように次々と起こること、ヒントがないこともあってかなりわかりにくいです。銀河の終焉という謎を丁寧に解読していった方が良かったのではないかと。
事件①子供の密航
事件②暗黒雲の突然の出現
事件③ワープ中の当たるはずがない隕石による船長以下ブリッジクルーの死亡
事件④9光年を短縮する移動
事件⑤クルーの反乱
事件⑥リーダーの自殺
事件⑦人工ビッグバン
かなり硬めのSFなので、週刊で内容が理解できたのか疑問ですが、実験的にこういう漫画を掲載してた当時のジャンプの懐の広さには頭が下がります。ただ、掲載としては失敗だったのではないかと。
最終的には、困難を乗り越えて、滅亡した異星人が残した人工ビックバンを回避して、100年前の船が見つかった経緯なども明らかにされますが、短期集中連載の割に進行がわかりにくいのと、主人公の視点がパイロットと探査リーダーで分かれているため、展開にカタルシスが少ないです。
光速以上のスピードでワープ移動しているので、目視でみている景色は、過去の物という話はSF的で面白かったです。