津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

破砕帯を抜け 1982年

黒部秘境物語 破砕帯を抜け 全1巻 弓一人 1982年 

 

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黒部の太陽を原作とした実話の漫画化。黒部ダム建設工事の苦闘を描いたドキュメンタリー、読み口は伝記漫画に近いです。ダム建設の事故、掘削方法の模索、破砕帯への対処など次々と襲うトラブルを描く。

 

世界第4位のダム、黒部ダムの工事

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作業員同士の確執も絡めて書いていますが、これはストーリーが工事のみだと起伏がなさすぎるので付け足した部分だと思われます。

 

主人公の命を助けて死んだ息子の事で主人公を恨む班長
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内容的には世界第4位の大きさのダムを作るために工事をするが破砕帯(地下水を含んだ崩れやすい層)などの困難があり、事故で死者を出しつつ、海底トンネルのノウハウなどを使いなんとか掘り進んでいくという内容に、作業員同士のドラマを絡めて描いています。

 

破砕隊にぶつかり進まない工事

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鉄砲水でやり直しになる工事

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危険な工事から、やめていく作業員
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新しい工法の提案

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工事の成功へ

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1980年から82年はジャンプ自体が方向性を模索していた時期で、3年で新連載が58本という状態、その内容もギャグ、時代劇、本格SF、スポーツと幅広く、政治漫画やぶれかぶれなんかも載ってていた頃、破砕帯を抜けもこの時期だからこそ珍しいドキュメント漫画。模索期間だけあって1.2巻終了も多数でした

 

58本の新連載からはDr.スランプキャプテン翼、キャッツアイ、ストップヒバリくん、ブラックエンジェルズ風魔の小次郎奇面組メカドックと大ヒットも生み出しましたが、ほとんどは1-2巻で終了しています。また、この頃は熱球水滸伝などジャンプでもコミックが出ないことがまだありました。