津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

虹のランナー 1988年

虹のランナー 全2巻 ちば拓 1988年 

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兄にコンプレックスを持ち、やさぐれていた治郎が、新人の教師陽子と出会い、マラソンを始め更生していく。スポーツというよりも青春物。
異様に物分かりの良いキャラクターと、気持ちだけでなんとかなってしまう勝負がちとつらいです。

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ショーリ、ノーサイド、虹のランナーと3連続失敗です。画力に関しては仕方ない面もありますが、戦略性のないスポーツ物を描き、勝負の肝はやる気と根性という昭和のスポ根物でコクや旨みのない試合を見せるという作劇上の問題が解決しないまま次々と失敗しているので、題材、アプローチ等編集からのアドバイスはなかったのか少し疑問です。

 

元々キャラクターが独創的というわけでない分、キャラ物にしないのであれば、そのスポーツならではの駆け引きや戦略を描くことがスポーツを面白く描くコツだと思いますので、そこを全て「気持ちの強い方が勝つ」にしてしまうと面白みがなくなってしまいます。(バトルの中の一つの要素であればいいと思うのですが)

 

 流石にこの時期にジャイアントキリングアオアシほど緻密な戦略の説明が難しいとしても、同時期サッカーならオフサイド、野球なら山下たろーくん、ドカベンなどある程度の駆け引きを見せるスポーツ漫画は描かれていましたし、気持ちで勝つ系統であればキャラが思いっきりたっている、なんと孫六やコミカルを取り入れたわたるがピュンがありましたので、比較すると今読んでも少し古さを感じるのは否めないです。

 

ショーリでスポーツ物に転身、ノーサイドでラブコメを封印して努力家のチビ主人公のスポーツ物と、試行錯誤はしてたようなんですけど、絵柄の変化がないのと、スポ根物の呪縛に取り憑からてしまったんでしょうか、どんどんマイナースポーツモノになっていったのも失敗の遠因でしょう。

 

絵柄の変化に関しては、ひらまつつとむ先生がマッドドッグ→飛ぶ教室桂正和先生がプレゼントフロムレモン→電影少女荒木飛呂彦先生がバオー→ジョジョ高橋ゆたか先生が剣客渋井柿の介→ボンボン坂あたりで大幅に変えていますが実際短期で変えられるのはごく一部の先生で難しいでしょう。

 

画力の向上で話題になったゆでたまご先生や松本直也先生などは尊敬に値するとおもいます。