津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

チェンジUP 1992年

チェンジUP 全3巻 今泉伸二 1992年 

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天才野球少年だった冬馬は、交通事故で肩をこわし、野球ができない体になってしまう。目標をなくし、女にモテることを夢見て入った高校で自分に憧れてた少女楓と出会い甲子園を再度目指しはじめる。

 

野球で女にモテようとする軽薄男冬馬

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交通事故で肩を壊して投げられなくなった過去があった。今泉伸二の得意技・古傷!

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今泉伸二お先生得意の、古傷、人情、再会を軸に展開する人情スポーツ漫画。野球よりも人情がメインで、技術論や戦術論はありません。3巻かけて練習試合2回で終わりますし、3巻かけても主人公とヒロイン以外の野球部員はモブです。

 

作りとしては、先日紹介したドンボルカンに近いんですが、あちらが大人の男の人情に対して、こちらは高校生の青春を絡めています。

しかし、軽薄な男がやる気になっていくというギャップで見せようとしたため、前作神様はサウスポー、前々作空のキャンバスと比べても主人公の性格が軽薄なため序盤の感情移入が難しくなってしまいました。また、人情ドラマをメインに据えている為、野球漫画としては10話でようやくボールが投げられるようになる(制球力は0)、2巻でようやくピッチャーができるようになると進行が非常に遅かったです。

クーロンズなんて目じゃないよ。

 

また、4球なので別に負けてはないのですが、ノーコンの冬馬の球威を打てないと敗北を認め楓へのプロポーズを撤回するライバルの天才バッター正平。撤回されてはじめて、ひたむきに野球をする正平が好きだったことに気づく楓。それを見てしまう冬馬。更に冬馬が怪我をする原因になった女の子・瞳が冬馬にアプローチ。など、恋愛面での四角関係の方が野球よりクローズアップされています。

 

今泉伸二の漫画より泣かす!」という謳い文句に使われたくらい泣かせる漫画家なので、さすがに2巻後半からまとめに入ってからはうまく展開します。けなげな楓や、自分の気持ちを言い出せない冬馬の描写はせつなく、感情移入できました。が、序盤のマイナスは取り戻せませんでした。

 

プロポーズを撤回されてから正平のことが好きだったことに気づく楓。それを見てしまう冬馬。

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楓を思いつつ、楓の心が正平にある事を知っているため表に出さない冬馬
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冬馬に命を助けられた少女・瞳は冬馬を想うが、楓との恋を応援する。

瞳に背中を押される冬馬

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楓に友達と言われ、言い出さない冬馬

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ライバル正平の最後の打席前に告白する冬馬

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この辺りは上手く描いてるんですけど、序盤で感情移入出来なさすぎたのが痛かったです。