翠山ポリスギャング 全2巻 甲斐谷忍
1994年
気が弱くて喧嘩も弱い警察官の銀之介と、正反対の喧嘩に強く度胸もある生き別れのヤクザの兄金之介。育ての親の仇をとるために東京に来た金之介は銀之介と再開する。いわゆる入れ替わり物。
なぜかこのジャンルは「戦星のバルジ」「ふたりの太星」といいいまいち成功しません。他紙だと信長協奏曲なんかもありますが、あれも入れ替わりがキモというわけでもないですものね。
お互いのことは思いつつも、金之介は弟に迷惑をかけないため他人ふりをする。
いざとなったら銀のために戦う金
治安が異様に悪い翠山
開幕から婦警が誘拐されます。
クロロホルムで眠らせて誘拐。往年の刑事ドラマではよくありましたね…。
お互いを思い合いながら警察とヤクザのため素直になれない兄弟。弱い銀之介が抱えたトラブルを強くて破天荒な金之介がはちゃめちゃに解決など、面白いライポイントはあったんですけどリアル路線すぎたのと、明確な悪役の登場が遅く、正体不明の非道なヤクザ黒崎の描き方が類型的でした。
ふたりの入れ替わりで事件を解決したり、警察内で一目置かれたり、婦警に惚れられたりしながら黒崎を探す金之介。警察内にいる黒崎の手先を仲間にして黒崎との対決に向かう金之介。
決着をつけに行きます。
総じて金之介が主役で、ダブル主人公の銀之介の魅力が薄かったこと、悪役が小物で盛り上がりにかけたのが辛かったです。
はちゃめちゃな金之介の報復は良かったんですが
ラスボス黒崎は大物のはずなんですけど言動が小物感
話としてはまとまってはいるんですけど、どっちかというとドラマ向けの話で、ヤクザにはめられる警官とか、美人婦警との三角関係とか少年誌向けではなかったかなと。
その後ワンナウト、ライアーゲーム、太平天国演義など青年誌の心理戦ものでヒットを飛ばすので、適性がそちらだった感はあります。