元気出してやでっ 全1巻 原案 土屋守 脚本 次原隆二 作画 山本純二 1995年
厳密には打ち切り漫画ではない。学校におけるいじめが社会問題になったのを受け問題提起を行うべく連載された企画漫画。クラス替えを契機にいじめられはじめた幸子の戦いを描いた漫画。
実話を元にしたフィクションであり、問題提起の作品のため、次々と連鎖するいじめを描いており、班→クラス→担任教師→校長までつづく対応のいやらしさと、最後まですっきり解決をしないのがリアルではあるが、後味は悪いです。
はじめはクラスの班から。リーダー格の女子以外はやや及び腰です。
班からクラス全体にいじめていいという雰囲気が広がる。班員たちはすでに全く罪悪感がない。
荷物持ちから、より直接的に生徒手帳や机に死ねという落書きがかかれ始める。
担任教師は見て見ぬふり。
無視から暴力へと発展。
この辺りは匙加減を徐々にエスカレートする様に調整しているようです。
周囲生徒の参加はしないが、止めないし助けもしないという心理。教育実習生から言われてものらりくらりと動かない校長など、学校環境での原因、いじめが止まらない仕組みはよく描写されていると思います。
飛び降り自殺を考える幸子
机に花瓶
最終的にはメディアに訴えることでようやく周囲に応援してくれる人も出て、教育委員会も動き、校長が対策をすることを約束しますが、幸子の要望は完全には通らず、いじめの証拠を握りつぶした担任教師には何の罰もなく、いじめていた班員は罰の悪いおもいをした程度で謝罪も反省もしません。
美味しんぼなどに代表される、そんなことでいじめがなくなったら苦労するか!というお約束によるいじめ問題の解決という結末よりはきちんとリアルなんですが、あまりにも座りが悪いおわりかただったため、カタルシスのなさが辛かったです。
一応いじめ自体は消退し、前向きになれたというエンディング
エンタメを書いているわけではないという理屈はわかるんですけど、個人的にはフィクションくらいはすっきりしたい。ハッピーエンドが見たいという主義のため、主犯か、担任教師か、校長から何がしかの区切りとなる謝罪またはざまあとなる窮地を見せてほしかったです。
今読んでも辛い作品です。
テンションがさがる…。