津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

Merry Wind 1997年

Merry Wind 全2巻 山本純二 1997年 

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神童と言われた天才投手塚本勇次と互角に投げ合い、再戦の約束を果たす為に弱小高校清芳に入学した山川一真。しかし、塚本は事故で死亡していた。野球をやる気を失う一真だが、清芳が練習試合に負けると廃部と聞いて迷いをふりきる。

 

弱小高に主人公バッテリーが入学するところから開始。

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この作品、情報を読者に隠した状態で話が進むので構成が非常にわかりにくいんですが、ヒロイン遥香の思い込みが激しいのに、遥香中心に話が回るので尚わかりにくくなっています。

 

時烈系順に並べると、中学地区予選決勝で塚本と一真が対決。塚本が勝利するも、一真はノーヒット達成。2人は再戦を誓う。

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塚本は清芳で甲子園を目指すはずだったが、一真が清芳に来ると聞いて、対決するために名門東が丘に行く事を決める。この、「清芳で甲子園に行く」ことの温度差が物語を面倒にしてるんですけど、ライバルと戦うことを優先するくらいの塚本の思い入れに対して、遥香はめちゃくちゃ清芳での甲子園行きに固執してます。

 

幼馴染(塚本)に甲子園に連れて行ってもらうことが夢だった遥香

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一真が清芳に来ることで志望校をかえる塚本

おまえら、バックのこと何も考えてないだろ

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塚本の代わりに一真に夢を託そうとする遥香

この辺りも甲子園行けたらなんでもいいのか?感が漂い感情移入を妨げます

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塚本が事故で死亡。塚本の代わりに一真に清芳の甲子園行きを託そうとする遥香

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お父さんが甲子園にいくのが夢がだったからという理由で清芳での甲子園行きを夢見てるんですけど、なぜまだ進学してもない学校に親が通っていたという理由だけでそんなに感情移入してるのかの説明は特にありません。東ヶ丘にいって、塚本と二人で甲子園目指すんじゃダメなの?

 

塚本が東ヶ丘に行ったけど、甲子園には行きたいから塚本のライバル一真に頼ろうは、まあ弱小高としては当然の帰結なんですけど、勝手に救世主扱いされて、死人の代理人みたいなこと言われたら困惑するわなあ…。というのが話をややこしくしてるポイントの一つ。

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さらに、なぜ全国区の中学をノーヒットに抑えた一真にスカウトが来ていないのか、キャッチャーはなぜ一真に盲目的に付き合っているのか、そもそも強豪校のスカウトならともかく弱小高にいく進路とかお前らどこから入手してるんだよとか、一試合分の因縁しかないのになぜ野球を辞めるくらいの衝撃をうけているのかなどの説明が一切ありません。

 

イラつくぜぇー!俺は納得したいだけなんだ!納得は全てに優先するぜ!

遥香と塚本との関係も一真と塚本の関係も掘り下げが特にないのでキャラクターがなぜそこまで思い入れているのかが伝わってきません。物語のために配置されたキャラクターという感じなんですね。 

 

塚本の死を知って野球をやる気をなくす一真

団体競技で同ポジションのライバルが死んだからって野球を辞めるところまで思い詰めるかしらというのも感情移入できないポイント。バックボーンを描いてくれ!

 

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結局廃部の危機を効いた一真とキャッチャーが野球部に入部して、名門相手に練習試合をノーヒットノーランで完封して勝ったところで連載は終了します。ライバルの死に気がつくまで4話、悩み悩んで野球部に入るのを決めるのが7話でそれまでヒロインと主人公の悩む姿を見せられるのはちょっときついものがありました。

 

球漫画の下手展開の一つ。負けたら廃部

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振り切って野球を続ける事を違う一真

まあ、これが普通の感覚なんだけど今までのはなんだったとはなる。

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まともに試合をしているシーンは一度もありませんでした。いや、野球漫画としてはきついです。

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多分「タッチ」をやりたかったと思うんですよ。幼馴染と育んだ甲子園にいくという夢。死んだ幼馴染の代わりに夢を継ぐ主人公。人間ドラマがメインで試合の技術面などは特に言及しないスタンス。野球を通して2人の中が徐々に特別になっていく等、随所にその気配が感じられるんですが、強引な展開と説得力のない描写が盛り上がりを損いました。

 

ヒロインムーブもあった遥香なんですけど2巻に収められる内容ではなかった。

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球漫画としては致命的な発言。塚本もそうなんですけどこいつらピッチャーが凄ければ試合に勝てると思ってるんですよね…。いや、昔の野球漫画はピッチャーと4番くらいしか描写がなかったけどさ…。この辺りの未熟さも鼻についちゃいました。
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