JOKER 全2巻 山根和俊 1997年
悪役プロレスラージョーカーは月の光で変異する怪物を退治する正義の道化師。子供達の純粋な欲望を糧に世界中の人間を月光変異させようとする羅生門を止める為にジョーカーは戦う。ハリウッドダークヒーローテイスト。
普段は悪役レスラー
月光変異して正義の道化師へ!
アメコミテイストのダークヒーローです
敵も月光変異した怪人
子供の脳を使って、世界に月光変異を起こすマシン。……エンジェルハイロウ?
2人の孤児が生きていくためには盗むしかなく、それが原因で命を落とした仲間を助けてくれる人は誰もいなかった。唯一の心の拠り所だったテレビのヒーロー・カイザーマスクを含めて。だから、キッドはヒールを演じながら正義の道化師になる事を決めた。憧れたカイザーマスクのようにプロレスで戦う正義のヒーローに。という、導入はシビアでいいのですが、テーマの正義をふくらましきれずになし崩しに世界崩壊を企む怪人とその手先とのバトルに進んでいきます。
正義のヒーローはいない。だから自分がヒーローになるというオリジン。
もともと、山根先生は市場をリサーチして綿密に構成を考えて描くタイプの漫画家ではなく、好きなものを詰め込んで自分が面白いと思う物を描く野口賢先生と似たタイプの漫画家なので、今作も前作ジャスティスも、アメコミテイストで憎まれ口は叩くが基本的には正義感の強いタフガイが、おてんばだが可愛い女の子を相棒に事件を解決するという根底は同じです。ジャスティスではこれに剣戟とバイクが、ジョーカーではプロレスが加わっています。
決め技はプロレス
好きなものを詰め込んだせいで、「正義とは」なのか、「化け物退治」なのか、「人間の業」を描きたいのかがいまいち散漫になってしまった感はあります。このあたりの、話の纏めきれなさはジャスティスでもかいまみえたので、青山広美先生とのコンビでギャンブルフィッシュ、バードシリーズ、超人戦線と連載ができたのは正解だったと思います。