津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

COOL 1997年

COOL 全3巻 許斐剛 1997年

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テニスの王子様のヒットでこちらもそこそこ有名なラジカセでしゃべるレンタルボディーガード、「トリッキー」のCOOL。

 

女子高生が依頼に来たところから始まりますが、よく考えたらとびきりおかしな登場シーン。女の子がラジカセに気を取られた隙に入り口にポーズ取って待機。この辺のよく考えたらおかしい味が許斐先生らしく、突き抜けたらテニスになったという印象。今作はまだ、真面目です。いや、許斐先生は、いつも真剣にやってるんだー!!

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テクニシャン、パワー、スピード、トリッキーの4人のレンタルボディガード。テクニシャンとスピードは残念ながら登場しませんが、おまけページで喫茶店のマスター、手塚国風がテクニシャンという可能性が示唆されています。温和でいつもニコニコしていて秘密があるキャラクターがメチャクチャ人気があったらしく、テニスの王子様では手塚国光としてリボーンします。設定上は手塚国光の従兄弟ということになっているようです。(レディクール参照)

 

自由度の高すぎるあらかじめ録音していたラジカセによる会話。ラジカセですよラジカセ?

今の子わかるのかしら。

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ハズレを引かす能力

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たまにホットになるcool

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パワーのボディガード・ドン。ナックルでトラックを止める本人曰く「ダイナミック」のボディガード。

スピードとテクニシャンのボディガードまで出せなかったのが残念です。

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後半毒手使いなどが登場してややバトル風味にはなりますが、特筆すべきは、こんなにバトル漫画にしやすい状況で打ち切りを喰らったにもかかわらず、レンタルボディガード形式は崩してないんですよね。

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話に芯を通して、結末まで描いているのに許斐先生の覚悟を感じます。coolのキャラが、一般受けするかっこよさかどうかは議論の余地があると思いますが、次作「テニスの王子様」で、寡黙で強いオレ様キャラを踏襲しつつ越前リョーマを人気キャラに仕立て、手塚、不二、菊丸、跡部、赤也、亜久津、真田、幸村など枚挙にいとまない一般受けするイケメンキャラを大量に描いて大成功を収めますので、この辺りのすり合わせも学習しています。これ、いい点を残して、ストロングポイントを増やしてるので、打ち切りからの次作としては完璧なムーブなんですね。紹介した作品にいくつも、1作めと2作めで同じ失敗をしているものがありますから、修正できてる時点でかなりすごいです。揶揄されることも多いですが、許斐先生なんだかんだで天才作家の1人だと思います。

 

ちなみにスピンオフとして、女性が主人公のLADY COOIが全2巻で2013年に刊行されました。

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