きりん 全3巻 八神健 1997年
ツノを失い3歳児の姿になった人間不信のユニコーン慧が、ツノを飲み込んだ中学生きりんと関わるうちに人間の事を見直していく。密リターンズの時と同じく後半からバトル展開が入りますがテコ入れだったのか、本来の作者の持ち味と違う感。
3巻20話なんですけど、構成が一貫しておらずコロコロ話が変化するので、作者が飽きっぽいのか、頻繁なテコ入れが入ったのかが疑われます。密リターンズも話が急展開していたので、作者が押しに弱くて編集からのテコ入れをしぶしぶ飲んでいたのかもしれません。移籍後のななか6/17やふたばの教室は一貫しているので、この可能性は結構高い気がします。
大きく4部にわかれ、1部は人間不信のユニコーン慧が、きりんやヒロインなるみの行動から人間が自分の思っていたような勝手な存在でなく、思いやりのある生き物ではないかと見直していくお話。
友好関係を持った人間に裏切られ、人間を信じられなくなったユニコーン
キリンと成美の行動をみて考えを変えはじめる
2部からは、幻獣界から人間界に来た幻獣・竜、ケルベロス、セイレーンたちとたたかってり、仲間になったり。トラブルをユニコーンの力で乗り越えますが、割とほのぼの路線。
3部からはバトルを交えながらきりんの幼なじみ、なるみにかかった呪いを解く為に古代幻獣界に向かうことになります。バトルシーンが明らかに気乗りしてないですし、どちらかというとキャラの掛け合いやドラマの方が描きたかった印象を受けます。キャラは可愛いですし、そちらがうまく生かせればよかったのですが中途半端なまま話は終わってしまいます。
ペガサスとバトルしたりするんですけど、全く筆が乗ってないおざなりバトル
ラストは4部は古代幻獣界に到着し、更に時間を超えて呪いを解く旅に出発した次の回で唐突に呪いが溶け、現世にかえり話は終わりを迎えます。
人間との共存は破滅を導くというウロボロスの呪いをときに
1話で説得されるウロボロス。
「人間との共存は互いの未来に破滅しかもたらさない。どちらかが消えるしかないと思ってたけどそんなことはなかったぜ!」
「人間は勝手に滅びると思うから呪いは解除しておこう。あるがままに生きよ」
前振りの割に中身のない冒険、尺の問題がソードマスターヤマト並みに即解決する呪い。コロコロ変わる展開と、ちょっと厳しかったと思います。チャンピオンのななか6/17は自由にできてアニメ化もされたので、本領を見たい方にはそちらをお勧めします。