津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

BASEBOYS 1998年

BASEBOYS にわのまこと 1998年

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やる気をなくした不良の溜まり場の野球部に入部した杉浦と、杉浦のいじめをきっかけに入部した古流剣法の使い手斬之助が甲子園を目指す。
テンポよく更生して起動に乗るんですけど初試合であえなく終了。

 

 

不良が野球をする場合、喧嘩しながら野球をやる「バツ&テリー」「なんと孫六」「ぶっちぎり」パターンと、更生する「キララ」「あした天兵」「ルーキーズ」パターンがありますが、こちらは後者です。
この手の話は更生して野球部が成立するまでに時間がかかると辛いんですがそこは上手くクリアしてます。

 

ちなみに不良部員の基本的な行動は、タバコ、麻雀、暴力行為で、更生させる手前レイプやアンパンは扱わない事が多いです。ベースボーイズもあした天兵もタバコと麻雀はやってますね。

 

麻雀・タバコ・部活内暴力は不良の代名詞

ルーキーズでもやってました

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あした天兵でも。

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さて、キララを確認すると、さすが平松先生、部室で長ドス持ってチンチロやってます!一味違うぜ!

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にわの先生は今作ではモモタロウやリベロの武田とテイストをかえるようにギャグを封印して真面目に野球をやっています。

導入、不良の溜まり場となった野球部でいじめにあう杉浦を、見かねて助けにくる斬之助。野球部の状態と杉浦の実力の片鱗を示し、斬之助のポテンシャルを提示しています。わかりやすく展開も早い。

 

ただ、最初の杉浦へのいじめが、仲間になるチームメイトの印象を悪くしすぎた感はありました。

防御力を下げたのが敗因か。


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杉浦自身が裏表なく性格の良いキャラとして描写されているので、部員に対しての遺恨はないんですけど、もう少しソフトな描写でも良かったです。また、厚生は早いものの、主砲の神田川以外はなんでやさぐれてるのかの理由などが示されないため、そこそこポテンシャルを持ちながら、何故かグレていた先輩達が、杉浦の入部で即効改心するというご都合主義になってしまっています。テンポの良さとトレードオフなんですが、引っかかった人はいたかと思われます。

 

杉浦の真摯さに打たれて、キャッチャー斬之助が入部、主砲の神田川が改心、更に元々そこそこやる気のあるキャプテン牧村が復帰して紅白戦。

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こちらも、先輩投手江坂の実力と、技巧派バッター長井の実力を描写したところで、甲子園経験者にして長井の元チームメイトが現れ、長井のやる気を刺激しつつ甲子園のハードルを提示、斬之助のポテンシャルを示して短く終わります。この辺りはコンパクトにまとめてて上手いと思います。

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俊足技巧派2番の相馬もやる気になり、モブ先輩が監督に説得されて1番斬之助、2番相馬、3番長井、4番神田川、5番牧村、678番モブ先輩、9番江坂or杉浦というメンバーが揃います。

ちょっとご都合主義な感じはありますし、キャプテン牧村は野球には真摯というわりに、序盤の不良野球部を放置してたのかとか、そもそもなんでやさぐれていたのかなどが提示されないのは引っかかりますが、全体として流れはスムーズで、よく纏まっていたと思います。

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地区予選一回戦でベスト4常連の強豪校とあたり、1話から登場していた監督の孫にしてメジャー嗜好のため高校野球からは距離を置いていた米良が参入して1回戦に勝利するところで終わります。

打ち切り漫画の中では比較的おすすめする漫画です。