津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

キックスメガミックス 2003年

キックスメガミックス 全2巻 2003年

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ヒカルの碁の後、雨後の筍の如くあらわれた背後霊物の一つジャンプでは他に野球物のオーバータイム、剣道のクロガネなんかがあります。

他誌だと、比較的最近なのはボクサーズブラストとか。古いのだとクラダルマなんかでもにた展開はありました。遊戯王は、上位者による指南というよりは二重人格と友人という扱いだったのでちょっと違うかな。

 

こちらはテコンドー物で珍しいジャンルではありますが、レアな素材は活かせず、背後霊漫画の罠にハマって終わってしまいました。

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背後霊物は、序盤背後霊の力を必要とする弱い主人公を魅力的に描くのが難しく、該当競技に興味がない主人公にその競技をやらせるというハードルをクリアする必要がある割にそのパートが面白くなく、更に主人公が強くなるとダブル主人公の片割れが必要なくなってしまうという宿痾がありますので結構扱いが難しい素材です。ヒカ碁はその辺りを上手く乗り切りましたが、後続はほとんど成功してないように思います。

 

キックスメガミックスも、喧嘩は強いがテコンドーはやったことがない主人公が鬱陶しい背後霊を成仏させる為にテコンドーを始めるという展開。最初から強いが競技を知らないという下地と伸び代がある素材を準備して、動機としても成仏させないといけすかない霊が居座るので背に腹は変えられないという比較的スムーズな進行をしていますが、その割に、やりたくてやってるわけでないという姿勢と、背後霊の千葉がのぞきをしたり女子に声をかけまくった為にの素直に入部させてくれないというテコンドーを打ち込むことを邪魔する展開を挟んでくるので、展開が遅いです。

本格的にテコンドーに打ち込み始めるのは7話からで、次の話から出稽古に行き、そこで才能を持ったライバルと出会って終わります。

 

背後霊の千葉が腹が立つ性格だったり(防御力が低い)、主人公も短絡的だったり(防御力が低い)、競技に対する興味が上がらないので、ひたすら喧嘩を売ることになる展開というのもマイナスでした。あと、にわのまことのアシみたいなんですけど、絵柄の雰囲気が湘南純愛組の影響を感じます。 

 

なぜただでさえ競技をするところまで持っていく事が難しい題材なのにハードルを上げるのか…。師匠役の千葉の好感度をガンガン下げに行きます

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ちょっと湘南純愛組っぽくないです?
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終盤の、千葉並みの素質を持つ為、背後霊の姿を見ることができるもう1人の男をライバルに据えたり、そいつを倒したところで千葉が成仏して消えるアイデアは良かったと思うんですけど、ちょっとノイズが多い作品でした。