忍者の末裔村雨クナイは将来スパイとなるための修行中。秘密諜報部員である父の正体を隠すためにも、バレないようにして友人を守ったり、スパイと対決したり、トラブルを切り抜けていく。
まだスパイじゃないのに正体がバレないように苦労してる理不尽。まあ、候補生ということなんですけどスパイが世襲はまずかろう。百歩譲って世襲なんだったらJr.スパイ養成所とか世襲の子供達を育成する機関を作るべきで、バレないようにするのも、秘密がばれた暁には父親個人が制裁するとか、個人の裁量に任すってどんなザル組織だよと、この制度自体に不安を感じる開幕です。
案の定、クラスメイトに怪しまれるクナイ。正体を隠す系のヒーローは多いですが、制裁が息子を溺愛する父親からであること、特に任務についているわけでもないのに秘匿条件だけつけられている理不尽、ジェノサイドなどと言っていますがジェノサイドするわけないというあたりで、秘匿自体にあまり真剣味を感じないので感情移入しにくいです。
ぶっちゃけ、クラスメイトに知られても口止めしてなあなあになりそうな雰囲気。
本人も秘密秘密と言いながら衆人環視で能力を使いまくりですし、父親も秘匿しろというわりに人目につきそうな課題を与えます。
速攻で今度は先輩に目をつけられるクナイ。
罰ゲームが厳しすぎる割に、秘匿への真剣味が足りないんだよ!
先輩を助けたことで秘密を知られるも、先輩は義理から話さない事を選択しますが、監視役により記憶を飛ばされます。「絶対秘密を漏らさないと何故断言できる?」しごくごもっとも。
結局、夢だったことにするという強引な解決で、記憶を飛ばさず、正体もバレないで事なきを得ます。
だから、スパイが、そんな不確実性のある選択してていいのか…。
次の展開では、スパイの息子を狩る「鷹狩り」の3人組に目をつけられたクナイが大人の諜報員と対決します。ようやくシリアス度が上がって来ましたが、勘で任務を報告するスパイ、ちゃちな挑発に乗るスパイと、どうにも展開が軽いんですよね…。
鷹狩りの試練を乗り越えたクナイは正式にスパイとしてやっていく事を決定し、初めての任務を受けます。高校生だからこそできる、高校生の警護という任務。
自分のために周りに傷ついてほしくないから、わざと周囲に冷たい態度を取る女の子、冷たくされても仲良くしようとするクラスメイト。女の子を狙う外人部隊。そうそうこういうのでいいんだよ。
展開もシリアスになり、警護対象の女の子の、嘘をつきながらも己の心を隠して明るく振る舞う姿や、交流しようと努力するクラスメイトなど、感情移入しやすく、燃えやすい展開になっています。しかし、ざんねんながら新展開入ったところで打ち切りが決まったらしく、駆け足で解決して、今後も出くる予定だったくさい小国の王子と護衛の顔見せをして終わります。
学園ギャグなら前半のノリでも良かったんでしょうが、シリアスバトルをするならさっさとスパイになって、ラストエピソードのような緊張感のある展開。学生版シティーハンターのような人間ドラマを展開した方が良かったと思います。シリアスとギャグの両天秤が、中途半端になった印象の作品でした。