津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

over time 2006年

OVERTIME 全3巻 天野洋一 2006年 

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野球版ヒカルの碁。特に夢もやることもない琴吹太郎は同じバスに乗って事故で死んでしまった天才ピッチャー鷹見与作の霊が乗り移れるようになったことから、鷹見の夢を叶えるため甲子園を目指す。
キックスメガミックスと同じ失敗。人は、同じ過ちを繰り返す…まったく!

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憑依して強ピッチャーに!

筋肉が違うから威力が落ちるのは話作りとして使いやすいと思うんですが、憑依される側が体の使い方がわかったとかフィードバックがないんで、メイン主人公がマジで空気なんですよ。

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ここまでにあげてきた打ち切り漫画の要素をナチュラルに持ち合わせており、構成要素だけでも危険な香りがぷんぷんします。

 

まず

背後霊物 ×  部員集め = 打ち切り力

なんですが、このハイブリッドに加え、野球部がないところから創部、傲慢暴力主人公、練習試合に負けたら廃部、メンバー集めに時間がかかりすぎて試合まで辿りつかない(正式な試合はラスト3話のみ)の倍満です。

 

傲岸不遜暴力主人公

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部活自体がない学校で部員募集から
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更に邪魔する奴らすら登場

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人数は集まったが負けたら廃部
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初連載という事で構成が甘く、背後霊&部員集めにした為に最終回までに野球部がまだできていないう展開の遅さ。久々にきましたね部員集め&負けたら廃部。まあちょっと思いつくテンプレの合わせ技になってしまったのは流石に辛かったです。

 

背後霊物の弱点、弱い主人公にやる気を出させる、魅力的に描くが致命的に欠けていた事。試合自体が一つもなしで5対9の変則試合が2巻に入ってからはじまる事、その試合の終盤でようやくネームドキャラの1人目が仲間になる事などちょっと致命的でした。これは編集仕事しろと言いたい。ドジ眼鏡っ子マネージャーヒロインが初期から出てた以外に褒めるところがあまりない上にこれもテンプレなんですよね。背後霊のいうままに流されて野球をしている主人公が感化されてやる気を出したり、スキルアップする描写が薄いので、本来の主人公に魅力がありません。一応、背後霊がいなくなった後の主人公に絶対的コントロールという武器がある描写があるのはよかったです。

 

1人目のネームドキャラ、強打者のキャッチャーなんですけど、やたらポエマー。もう1人の元野球部の不良のボスと合わせて3巻かけてネームドが2人しか仲間にならないのもきつい。

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3巻にしてようやく自分の力で甲子園を目指す事を決意する主人公。もう少し、これをコツコツ描いてくれれば…。

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一応ラストで主人公側にフォロー

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月並みですが、ネームドキャラの味方を早めに出す。ある程度の野球部(地区予選ベスト8-16)くらいの学校にはいって、同期のネームドキャラと野球部の実力を底上げしながら試合を早くやる。背後霊がつくのが、素質ある野球部員で、背後霊に憑依されていくことで本人の実力も上がっていくなどの描写があれば…。もうそれは別物ですね。