フープメン 2009年
フープメン 全2巻 川口幸範 2009年
バスケ部の救世主である留学生の通訳の為に部に勧誘された雄歩が次第にバスケに目覚めていく。地味ながら、上手いやつにスポーツの楽しい所を教えてもらう、才能の差にやる気をなくす、悔しくて努力をする辺りのフェーズを丁寧に描いており、バスケの楽しさや、初心者が上手くなる時のワクワク感、女の子にモテたいなどによるモチベーションの上下、ライバル視してる奴がいい奴で、仲良くなっていく過程など現実のあるあるを上手く話に織り込んでいる為、惜しまれる打ち切り漫画となっています。
可愛い女の子につられて、救世主として呼ばれたバスケ部で待っていたのは凄腕留学生の翻訳の仕事だった。
留学生のジョシュアはいいやつ
通訳をやりながら仲良くなって行く
ジョシュアのパスで、バスケに目覚めて行く勇歩
喧嘩で謹慎していたアツムの復帰
勇歩が気になってる小金井ちゃんの幼馴染の凄腕バスケットマン
ライバル視しして頑張るが追いつけそうもない現実に気がつく
まあ、リアル
やる気を無くしてみたり
付き合ってみるとアツム自身もいいやつだったり、
やる気を取り戻したり
主人公雄歩もその辺にいるちょっとお調子者の、特別な才能があるわけでもない高校生というキャラで、性格も少し大口を叩いてみたり、ヒーローになれるって妄想してみたり、でも自分ってたいした事ないと落ち込んでみたりと、等身大の男の子と言った親近感の湧く人物を嫌味なく描いています。ちょっとリアル路線すぎて、ジャンプ漫画主人公がもう「狂気」のような物はなかったのでそこが明暗を分けた部分かもしれません。3年間練習してそこそこのシューターで終わるという超リアルバスケ漫画。
キャラの出し方も、ジョシュアを軸に展開した後、ジョシュアと同等の天才アツム、アツムの件が落ち着いたところで、バカだがパワフルな巨漢藤代登場と、キャラを一人づつクローズアップしてわかりやすく展開しています。あと、一枚絵の使い方が印象的で上手い。
と、一部で評価が高い理由もわかります。
黒子のバスケと同時期に始まり、バスケ漫画蠱毒に敗れたため、同時期に同ジャンルで連載をする事を「フープメンの悲劇」と呼称する事があります。これは、黒子のバスケの爆発的人気、能力バスケに対する現実バスケの敗北、フープメンの作者がその後日の目を見なかったなど複合的な理由がありました。
しかし、その後川口幸範先生は、9年の歳月を越えてグランドジャンプでホテリエ、ヤンマガでキッズファイヤードットコムの作画で復活します。人間ドラマの描写はうまかったので、青年誌の方が向いているかもしれません。今後の活躍に期待します。