少年疾駆 全2巻 附田祐斗 2010年
地区の強豪御崎FCのエース晴輝は、チャンピオンズリーグを目標とする転校生薫のテクニックと夢に触発されて才能を開花させていくというさわやか少年サッカー漫画。サッカー漫画が続きますが、今回はマイスターより更に現実路線。
ジュブナイルリアル系少年成長物路線
割とジャンプでは珍しい作風
県内有数の少年サッカークラブの不動のエースにして、かっこよくあろうと努力するちょっと馬鹿な面もあるハルキ、転校してきて軽々とハルキを超える実力を見せつける陣明薫。
1対1で勝負を挑むも10-0で完敗。
これで嫉みも折れもせず、相手を認めて挑み、日々のかっこよくなるため(サッカー含む)努力から勝機を見出して成長するハルキ
一矢報いたものの、敵わないカオルを追いかけるハルキ。夢はチャンピオンズリーグという、自分とのスケールの違う夢を聞いても馬鹿にしたりしない、素直にかっこいいと思う。自分も、前進するための努力をする。
小学生のバカさと、大きな夢、それを笑わないで競い合う真っ直ぐさ、成長を描いたジュブナイル青春物の様な味わいで、悪くはないんですけどいまいち盛り上がりに欠けてしまうという構成。技術論よりは、少年の成長が主題の趣。続けて読むと好きな人にはじわっと染み込んでくるって風情。
内容的に少年サッカー編はともかく続いた場合どう展開するつもりだったかは気になります。最終回は高校生になってますし、最終目標はチャンピオンズリーグなんですけどそこまで描けたのかしら…。作者自身サッカーはよくわからないけど提案されたので描いてみたニュアンスのことを言ってたらしいので、そこまで考えてなかった可能性が高いです。
最終回は、高校生、ユース代表から夢の端を掴んだカオル。高校サッカーで冬の選手権決勝に出場してカオルを追いかけるハルキというところで終了。
少年疾駆打ち切り後、附田先生は外連味たっぷりの食戟のソーマの原作でブレイク。作画から原作転向は稀にあるケースで、話作りはうまいが画力に乏しい漫画家が転向するケースが多く、成功例もそこそこあります。1番有名どころだと、デスノート、バクマンの大場つぐみ先生。他に闇狩人の坂口いく先生やギャンブルフィッシュの青山広美先生、ぬーべーの真倉翔先生などがあてはまります。
続編に名義を貸して原作とする聖闘士星矢スピンオフにおける車田先生やゼオライマーΩのちみもりお先生のパターンや、おそらく本人が忙しくて作画をつける、サムライ8の岸本先生やLET'Sダチ公の立原歩先生のパターンなどもありますが、原作転向パターンの場合本人作画の漫画は読めなくなってしまうので事実上の絶筆になってしまうのが悲しいところです。
しかし、青春路線から、真逆のあざとい料理バトルに切り替えられるあたりセンスは素晴らしいと思うので今後の作品にも期待しています。