津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

スモーキーB.B. 2013年

スモーキーB.B. 全2巻 作画 河田悠治 原作 小宮山健太 2013年 

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一部ツイッタラーに人気の、花咲一休コンビが送る野球漫画。中1で無名の中学を全国準優勝に導きその後姿を消した天才ピッチャー煙爾郎。親の借金で野球ができなくなった彼に、弁天高校から違法の金銭入学が斡旋される。

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金の為に野球をするが、ワンナウツほどダーティヒーローではなく、毒舌だが野球には真摯な主人公と、その割にバックグラウンドが黒いというアンバランスな構成になっています。一応全国の強者が集まる理由づけにはなっており甲子園優勝への賞金となる遺産目当てに裏金補強がまかり通った夏という形で、オールスター甲子園が開催されます。

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開幕の見開きにいかにも主人公によって甲子園が変わるような雰囲気を出していますが、これはミスリードで、甲子園を変えたのは賞金をかけた死にかけの金持ちです。打ち切られなければ、主人公を超えるハングリーな敵や、サイン盗みやスピットボールが横行するダーティな敵が出てきたんでしょうか?神童、怪物、王子は出てきたと思うんですが。

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スカウトされて野球ができるようになった主人公。序盤から草野球や賭け野球で実力の片鱗は見せつけます。ビッグマウスは叩くが実力はある主人公の形態。

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残念ながら作中では主人公とメジャードラ1の外国人選手が金で買われてきた描写くらいしかないです。
このメジャードラ1はよく揶揄されていますが、日本にきたシーンしかなくその後出番がない為、何のために出てきたのかさっぱりわかりません。ちなみに中学日本一の天才投手も登場シーンのみです。

 

メジャードラ1から日本に買われてきた外国人強打者。このあとの出番はありませんが、彼の存在がスモーキーB.B.のタイトルアルファベットがベストボクサーでもバーニングブラッドでも僕たちは勉強ができないの略ではなく、ベースボールビジネスの略だと教えてくれました。

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ライバルと見られた中学日本一の天才投手

勿論ここが最後の出番です。

作者は一休でもラスボスを数ページ登場させましたが、その後出番がなかったため、ラスボスっぽいけど何のために何をしていたのかさっぱりわからない存在になりました。原作仕事しろ。

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金銭入学した煙爾郎は、金で買われてきたと知っている野球部エースに認められるためレギュラー9人を抑える9アウトを提案します。地区大会ベスト16止まりで、神奈川2強に22-1で負ける学校です。1億円ピッチャーが負けるわけもなく速球派でスモーキーということしかわかってない主人公の力を見せつける回、誰もがそう思う展開です。

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と思いきやー!
6者連続三振の後、7番打者に打たれますが中立の内野手が突如参戦して1アウト。本来ならここで負けです。8人目は今日一のクロスファイアで三振に取りますが、怪我があるとはいえ4番にはスリーベースを打たれます。暴走してアウトは取れますが、全然通用してません。

ええー。一億円ルーキーよ?

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読者「ぜんぜん違うじゃん!」
原作「……」
読者「言ったよね!?甲子園で優勝するって…なのに、この結果は何!」
原作「中1の軟式で全国準優勝の後2年ブランク、変化球なし。当然の結果です」
読者「もういいよ、私、読むのやめる!」

 

思わずアイマス構文を使ってしまうほど期待感をそがれますが、散々ビッグマウスを叩き、一億円の値をつけて違法な金銭入学で入学し、草野球や賭け野球で実力の片鱗を見せつけてあげていた期待値はなんだったんでしょう。豪速のスモーキー!じゃねえんですよ。

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ほんとにこいつに手付け500万、成功報酬1億払ってもいいものかと思わせつつ、チームの一員として認められた煙爾郎は春の大会1回戦を無失点で抑え、因縁の布袋高校と二回戦で対決します。センバツ帰りということで全国区との対決。先輩が6失点して煙爾郎と交代。味方なると弱体化しやがるぜ…。

 

負けムードのチームに流れを持ってくる為に打たせて取るピッチングをはじめる煙爾郎。なに急に流れ論!?
理論派で描くんでなければノゴローみたいに気持ちを乗せる速球派で良かったと思いますが…。ストレートしかない技巧派速球投手で理論もないってウッソだろ…。

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そして、神奈川を代表する敵4番との対決。ここで主人公の真価が問われます。チームメイトの見守る中、渾身のストレートを打たれてホームラン。

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ええええ。クソ地味な踏み込みの距離を変えてタイミングをずらす事で2回目の勝負には勝ち、夏への希望を残して終了。

 

立ちはだかる主人公の見せ場でことごとく主人公が打たれるという爽快感のない野球漫画。

こんなに打たれるならビッグマウスの孤高のキャラより、天才的な素養を持ちながら事故で怪我をして這い上がってきた発展途上の努力の天才みたいなキャラの方が良かったと思います。

なぜ読者の期待を裏切る方向で意表を突く展開をやろうとするのでしょう…。

 

主人公がどんどん弱体化していくという珍しい野球漫画でしたが、予想通り2巻打ち切りとなりました。出てこなかった、怪物、王子、神童が気になりますが、甲子園優勝はした模様。

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いや、納得いくか、こんなん!