学糾法廷 全3巻 原作 榎伸晃 作画 小畑健 2015年
教育現場で起きる問題を子供達の手で解決させるために、政府が「学級法廷制度」を実施している世界。転校してきた小学生弁護士・犬神暴狗は、小学生検事・判月鳳梨と対決しつつ天秤小学校で起こる問題を解決していく。
ベットのスズキ君バラバラ事件、クラスのアイドル靴箱盗撮事件、漢字テストカンニング事件、マジカルハッピーの粉密売事件、絵画盗作事件、プール開き盗難事件など、小学生らしいくだらない内容での犯罪は、バクマン作中作のPCPをおもわせますし、作画的に小畑健先生が選ばれたのは間違いなくそのあたりもあるでしょう。ただ、小畑先生シリアスには映えるんですけど、こういう半分ギャグテイストの作品には隙がなくてマッチしない感じなんですよね……。読み切りは原作の榎伸晃が作画もしていますが、「君の絵では厳しい」と言う編集の判断により小畑健先生が作画に選ばれています。
小学校で起こる事件 内容は比較的軽い
三巻に収録の読み切り 論破がメイン
デスノ、バクマン、ヒカ碁とも絵柄を変えている小畑先生は本当に器用です。
小学生に法廷は難しすぎないか?屁理屈の言い合いになるのでは?と言う予想に違わず屁理屈から始まりますが、ここを低年齢に訴求する様にうまくまとめれば成功の目もあった気がします。設定の割に読者への挑戦がつくほどの堅実で地味な謎解きになってしまったため、低年齢には難しくて、高年齢には子供っぽい作りになってしまいました
この漫画を代表する論破シーン。
このシーンをどう思うかでこの漫画の評価が決まりそうです。
まあ、設定を見るだけでちょっと攻めすぎた感はあります。「神の舌」「三舌」「血の学級会」「小学生の刑務所」「美少女検事セーラーパイン」「忍者の里」「拷問検事」「心裸万象(フルムーンスコープ)」
ツッコミどころが多すぎます。
法廷という設定も、血の学級会という内容も陰惨になりそうな雰囲気の割に実際に起こる事件や罰はライト目でどこまで本気か分からないキャラと合わせて、凄そうなこと言ってる割にやってる事しょぼくない?という肩透かしが盛り上がりにかけた原因と思います。小畑の無駄遣いなどと言われてしまいました。
ちょっと何言ってるかわからない
い
全体的にチャンジャブルだったんですが、対象となるターゲットを絞りきれてなかった感がありました。ロジカルに謎が解ける本格ミステリなのか、言葉遊びと外連味なのか、コミカル子供法廷なのか、全てを対象としてどっちつかずになった感は否めませんでした。
あと、謎解きのためとはいえ小学校に使用禁止の水深5mプールがあるのは無理がありすぎたと思います。