改造人間ロギィ 全2巻 三木有 2015年
移植型人工生体機能により特別な力を持つ改造人間が増え、法律や警察が追いつかないまま改造人間犯罪が野放しになった世界。嗅覚に特化した改造人間ドグは、処分屋の改造人間ロギイと出会いパートナーとなる。
改造人間が一般化した時代
黒犬騎士団みたいなモットーの犯罪者集団
改造人間ドグはロギィと出会う
犯罪者が野放しの時代に子どもとの約束を守るために改造人間と戦うロギィをみて流されていたドグは、なんとなく自分の立ち位置を定めていく。
バディ物にして、近未来スタイリッシュハードボイルド。分かりやすくいうと美女が出なくて改造人間の力でトラブルを解決するシティーハンター。最強でちょっと俺様だけど、子供には弱いロギイが依頼を解決していく。改造人間の元となる材料用の人間がいるという設定が重いです。
パーツ採りをするためのオリジナル。ドグの鼻が効くとか、瞬発力を上げる、ロギィのパワー、精密さなどの「副作用」を持つものは人気商品となる。
過去に実験として「改造」をされすぎたことにより複数の強化を行われた通常の改造人間と一線を画す能力を持つロギィ。体の何%が自前かもわからない状態。寿命も短いと推測される。
オリジナルであるハロとの約束により改造人間を処分する事を目的とするようになった。
重い過去を匂わせたり、思わせぶりなキャラを配置したりする割に説明がない事や、ハイヒールにネイル、レザーの眉なし吊り目ピアス俺様キャラ造形、中盤から出てくる男装イケメン警察幹部の上から感など総じてウイングス系の少女漫画のような作りで、ジャンプでこれは票が割れただろうことを感じさせます。ちょっと腐臭が。
バトル展開
見たまんま瞬発力と弾力での体当たりと、映像情報を強制的にに送り込むことで相手を酔わせる改造人間。
前述のように改造人間バトルに振り切らず、人間ドラマの方を重視している割に情報を明かさないのでじれったい作りになっています。バトルの比率を高めるか、依頼人を明確に設定してエピソードの盛り上がりを作るかだったでしょうか。全体を通して不器用なロギィの己を通す生き方がメインになっているので、この少年漫画では珍しいキャラ造形のロギィに思い入れができなければ厳しかったと思います。
途中から、改造人間を取り締まる秘密警察も登場するのですが、一般受けしそうにないんですよね‥。
結局中途半端に、オリジナルのエピソード、過去に因縁のある秘密警察の幹部郁とのエピソード、見せつつも完全に消化しきれないまま、新たな敵の登場をに合わせて完結します。
ジャンプっぽくはなかったですが、17歳で投稿した作品が連載になった事を考えればよくできた方なのでしょう。
受賞から連載までに5年かかっているあたりに連載化のハードルを感じますね‥。