UBS 全3巻 打見佑祐 2015年
喧嘩最強の祭矢陣はクラスメイトの百地桜とか変わったことからルール無用の路上喧嘩最強を決める大会ウルトラバトルサテライトに出場することになる。シンプルに強くなりたい主人公によるリアルなんでもあり格闘技漫画。僕これ好き。
わかりやすく、世界で最も金が動く格闘大会
気や能力のない、ジャンプだと久しぶりの真島くんすっとばすくらいのリアル系格闘路線。1番になりたいというバカだが、格闘頭脳はすごいという感情移入しやすい主人公に、金と強者が集まる大会。導入から試合での反則負け、UBSとの出会い、プロ格闘家との対戦とサクサク進行していきます。主人公の思想が喧嘩商売に近く、シビアな思考とリアルよりのバトル、が低年齢層に受けなかったのかなと…。チャンピオンならヒットしたと思うんですけど…。
わかりやすい強くなりたい主人公
努力より技術より頭脳。この立ち位置の決め方がジャンプっぽくなかったですが、リアルでよかったです。
師匠となる百地流との対戦、格上相手に頭を使った勝利、さらなる格上に敗北、特訓、上位ランカーとの対決による特訓の成果の確認と、無駄のない進行とわかりやすく好感が持てる作りだったのですが、リベンジ開始のところで打ち切られてしまいました。
師匠となる百地桜との対戦
本物の空手家・飛鳥に敗北
格闘家もプロレス、空手、ムエタイ、喧嘩、忍術、相撲とバラエティに富み、格闘へのスタンスもそれぞれに変えておりよく考えられた構成だったと思います。負けても格の下がらないプロレスラーとか、ビジネス重視のムエタイ選手とか、人気商売の女子高生忍者だからバトル中にパンツ見せてもむしろ美味しいとか、うまいキャラ作りでした。
美学だったり、ビジネスだったり、生き様だったり、それしか知らないからだったり、気に食わないやつを倒す為だったり、戦いとの向き合い方も様々に描かれています。この辺り丁寧で好感が持てます。
この漫画を象徴するキャラ。タイ人キックボクシングチャンピオン・ポー。
ビジネスの為に戦うのだ、怪我をしそうならすぐギブアップ。ファイトマネーが少ないなら割に合わないから試合しない。
そこそこで戦えば稼げるのにトップとやりたがる主人公に「キリないぞ、そういうの」
主人公との対比がわかりやすく、尚且つ嫌味のないキャラ。主人公の少年漫画主人公らしさ、常識的な現世利益を逸脱した思考をクローズアップしてくれます。
本誌では修行を積んでリベンジマッチ開始のところで終わりましたが、ジャンプ+で完結編が掲載され、天才飛鳥に上手をとられ劣勢になるも、耳どりからの崩しを、耳をちぎられても動かないで反撃のきっかけを掴むという熱い展開。
さらに3巻に収録の番外編ではくわしく語られなかった百地流について語られます。総じて惜しかった作品であり、好きだったという人も多い惜しまれる打ち切り漫画の一つです。
作画も悪くなかったんと思うんですけど、打見先生はその後2016年にジャンプネクストに読切をのせた後は沈黙。2021年2月にジャンプ+で原作として作品を発表しています。
アイアンナイト、レッドスプライトの屋宜知宏先生、デビリーマン、二人の太星の福田健太郎先生と並んで次作を見たい作家なので、今後の活躍に期待します。