ラブラッシュ 2016年
ラブラッシュ! 全2巻 山本亮平 2016年
E-ROBOTでエロを主題にした山本先生が恋を主題にかいた漫画。全ての異性に対してモテモテの主人公レイジは幼馴染のシズクが好きだがシズクにだけは相手にされず。そんな中18歳になったレイジに他の種族からの求愛が始まった。
モテモテハーレム物のスタートに見えますがハーレム要素は少ないです。
立ち位置的には明らかに負けヒロインの天界のキューピッドの王女ココロの視点が多く、レイジへの思いを伝える可愛いさや、思いやる健気さが存分に描写されており負けヒロインの描写としてはかなり成功例ではないかとおもいます。1巻表紙もココロ。
明らかに負けヒロインだけど力が入っています。健気な!
ダブルヒロインのもう一人
幼馴染のシズク
正直、負けヒロインを丁寧に描写することにより恋の切なさを描こうとしたチャレンジ作品という意向があったのではないかと思います。人気を取るのは難しいと思いますが、その意気やよし!
ちなみにこれをやりつつ、成功する恋愛も並行して描くことで恋の甘さも切なさも味合わせてくれた成功作が「ハチミツとクローバー」です。うまくいかなかった恋にも、意味はあった!あったんだよ!
他種族のヒロインも登場してハーレム物の一面も見せます。恥ずかしがり屋の巨乳サキュバス、ケモミミ獣人お嬢様、スライム娘などが登場しますが、前作より画力も上がり、全体的に可愛くなっています。また、E-ROBOTより内面描写も明らかに丁寧になっています。
ただ、ハーレム物としては、主人公ヒロインの間に入るほどではなく味付け程度でした。前述の理由から意図的にそちらに力を入れないようにしていた可能性が高いです。たしかに、主人公視点でモテモテになる喜びはないので、賑やかし程度で良かったとは思うんですが、そうなるとここのパートいる?ってなるのが難しいところです。
最終的には海水浴場のトラブルからココロとキスをしてしまい婚約が成立。シズクの恋心を刈り取りに来た死神との戦いの中、シズクは恋心に気づき、ココロとレイジの過去も判明します。ココロの恋心に下地があったところはうまい描写です。ダリフラのゼロツーとヒロとかこういう展開エモいですよね。これを負けヒロインにやらせるところがにくいです。
恐ろしいぞほどの負けヒロインムーブ。
諦めようとするヒロインを叱咤するココロ
負けヒロインーッ!
この辺りの自分が勝てそうなのに、相手を応援してしまう負けヒロインムーブが好きかどうかがこの漫画の評価になると思います。
応援しちゃうんだなあ、これが!
子供の頃に知り合っていたココロとレイジ。
異性にモテすぎて、好きと言う気持ちがわからなくなってしまった閉ざされたレイジのココロを解き放つのと引き換えに自分と出会った記憶を抹消されてしまう。
ただ、ココロのキャラが強すぎて、主人公とヒロインのパートが薄くなりすぎたのが痛かったです。特にヒロインの魅力がほとんど描かれないという…。最後の一幕も心に残る終わり方で評価もされているんですけど、この辺のアンバランスさが打ち切りの理由だったのかと思われます。
おそらく、ヒロインを推す読者がほとんどいなかったかと…。全員が負けヒロインを応援する漫画あるかな…。
とにかく、前作からの成長率で言うとジャンプ打ち切り漫画漫画の中でも屈指の出来であり、この後ジャンプラの「早乙女姉妹は漫画のためなら!?」で成功を収めます。