レッドスプライト 2016年
レッドスプライト 全2巻 屋宜知宏 2016年
電力を放つ物質「雷髄」を埋め込まれた雷髄人間。 特別な雷髄人間の孤児7人の住む施設が襲われ、つかまった仲間たちが巨大電力の供給元として扱われるなか、生き延びたタツは仲間を取り戻す為大国エデニアに宣戦布告を行う。
田舎の孤児院で過ごす子供達は、人造的に作られた雷髄人間を逃し隠していた施設だった。
開幕、平和から襲撃。
囚われる仲間たち。
電源として使い捨てられる雷髄人間
一人逃げ延びたタツは6年後、エデニアの戦勝記念祭に殴り込みをかける。
「アイアンナイト」で確かな構成力を見せた屋宜先生の2回目の連載。前作の反省からか主人公をカッコよく、能力も使いこなしているところからスタート。自分を含めた仲間が実験動物扱いで、人間扱いされていないというダークぶりは健在の最強系主人公物です。
今回も1話で世界と主人公達雷髄人間の説明。襲撃、仲間との別れ。生きる目的の決定。2、3話で建国宣言、宣戦布告、一人目の仲間の回収と、明確なテーマをもって展開します。
ただ、今回は飛行艦国家なのに艦がカッコ悪いのと艦隊戦のヴィジュアルが微妙という弱点がありました…。
また、いかに一騎当千であろうと、特に戦艦を動かすのであれば、補給、修理、休息、人員の補充•教育など組織的な反抗を行うことになるはずなのですが、その辺りがはっきり描写されず、国家と戦うにしては行き当たりばったりまたは説明不足な印象がぬぐえませんでした。こちらも好きなんですけど、アイアンナイトと比べると、乗り切れなかったのはその辺りが大きかったです。
もう一点、開幕から小気味良く主人公主導で動く話なため、サクサク進行するのですが、雷髄による高速機動がハンタのキルアやネギまの雷速瞬動などでやり尽くされていた感はありました。
相変わらずキャラの立て方、感情面の表現は上手いと思うんですけど
高速機動はやり尽くされた感がありました
雷髄人間自体は高速型、大容量型、磁力型と個性は出していたのですが、電気縛りだったのはちと作品の幅を狭めてしまったかもしれません。
二人目の仲間は脱出して、一人普通の生活をしていたことを悔いるアルフレッド。自分を守った国を守るため、英雄となり、タツの手を取らず国を守って死のうとするまっすぐな人物、それを歯痒く思う上官、アルフレッドを信じるタツ。この辺りはやはりうまいと思うんですよね。
隣国の英雄となっていたアルフレッド
救われた恩に報いたく、仲間を助けにいかなかったとこが後ろめたく、素直になれないアルフレッド
エデニアの雷髄戦士を二人で撃退し、わだかまりが解けたところで最強の敵が来襲します。
エデニアの秘密兵器「遺灰兵士」ブラックバーンに圧倒されるタツとアルフレッド。モノを含め三人の雷髄人間の力を合わせて、ブラックバーンを倒し、ナルビオンと同盟を組み、新たな仲間を探しに行くところで連載が終わりました。ヒロイン不在がダメだったかしら。一応天才美少女女王陛下が終盤登場するのですが、1.2番手にヒロインを出すべきだったかもしれません。
敵の幹部格 遺灰戦士
三人の力を合わせて勝利する
結構好きだったんですが、ちょっと足りない感じはありました。
この後屋宜先生読切1本で沈黙しています。津尾さん、ファンなので、返り咲くことを期待しています。