津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

デモンズプラン  2016年

デモンズプラン 全2巻 岡本喜道 2016年

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選ばれし者の願いを叶えるデモンズプランを目指して金を貯めるボロとカルロス。念願が叶うその日、カルロスは冤罪に問われたボロの代わりに罪を被り死刑となる。ボロが夢を叶える事をいのるカルロス。しかし、デモンズプラン自体が金を集めるための詐欺だったことをつげられる。子供の頃からの夢も、自分達の血が出るような努力も、冤罪を肩代わりした事も、それで友は夢を叶えられると思ったことも全てが嘲笑われる愚行だった。夢見たものが偽りだったと知った時、カルロスは悪魔となった。

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突き抜けた欲を持つものだけが悪魔に作り替えられ、不老不死の体と能力を与えられるという本物の悪魔の設計書(デモンズプラン)。これによりカルロスは破壊欲の悪魔に、ボロは守護欲の悪魔になります。悪魔を殺せるのは悪魔のみ。そして108人の悪魔の最後の一人は願いを叶えることができるという設定

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面識のないカルロスを庇い、罪を押し付けられてもそれを許すボロと、頭は回るが子供の頃の恩義を忘れずに下につくばかりか命と引き換えにボロの夢を守ろうとするカルロスと、ダブル主人公の関係性は存分に描写され、カルロスが破壊、ボロが守護と対になる存在。悪魔になってもボロをしたうカルロス。

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ボロ側から見たカルロスとの仲も描かれて、今後の展開にワクワクするところなんですけどカルロスはこの後本筋に絡まぬまま終わります。何のために一話かけて二人の関係性を描いたんだよーッ!

 

1話の完成度は高く、カルロスはラスボスにも、「ボロの守護と僕の破壊が揃えば無敵だ!」的な最強のパートナーにも、主人公を慕うヤンデレキャラとしても、暗躍してボロをトップにつけようとする腹黒キャラとしても役割をふれる汎用性の高いキャラだったのですが、まさかその後出番がないとは。

 

1話の完成度で、これは来る!と一部の人の心を熱烈に掴んだため、Twitter検索でも魂を囚われた人間が散見されますが、マルチェロさんのコミック売り上げランキングでもおそろしく低位置です。アイデアは良かったと思うんですよ。

 

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勝負の2話、3話で働いてたところの親方との人情話と、悪魔の手がかりを掴むために都会に出かけて情報屋を探すという間延びした展開が致命的な敗因の一つでした。4話から収集の悪魔との戦いが始まりますが、このあたりの展開がスッキリしてれば…

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僕が知る限り「SANTA」が、限りなく完璧に近い1話をやった後、2話で本編と関係ないとある町のモンスターのお話を繰り広げました。また、「ぼくらの血盟」が2話で幕間回をやりましたがいずれも失敗しています。2話は1話で説明した主人公たちを大きく動かすかヒロインがライバルだしとこな!

 

三勢力で均衡した十愚魔の勢力争いを早めに出して2話から新人潰しやスカウト、カルロスとボロのダブル主人公の成長を描きながら三国志やれば良かったと思うんですよね…。残念ながら十愚魔の勢力争いの話が出たのは最終話だったのです…。

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途中意味ありげに出てきた最大勢力にしてラスボスっぽい支配欲の悪魔はほんとに出てきただけで終わりました。打ち切りあるある。
ラストで続々と登場する十愚魔達。だから十傑集とか九大天王とか八部衆は早めに出して強さとビジュアルだけでも匂わせろとあれほど。

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途中で仲間になる正義欲のユースも情報屋のサルビアも凡庸でキャラが弱いんですけど、不老不死の呪いの悲しさを描いたエピソードなんかは良かったと思います。まあ、正義欲だとキャラの幅は作りにくかったか…。

 

不老不死になってからずっと妹を守るユース

盲目だが兄に気づいている妹

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ユースの因縁の相手、超再生のロブリオンを倒して物語は終わりますが、ラストバトルにしては相手が超再生のみっていうのも地味なんですよね…。いや、腕が生えてくるんですけど、再生能力があっても腕は増えないと思うんだ。

覚醒したボロは新たな能力でロブリオンを倒します。鎧が…あえて言うまい。

 

超再生だから腕が増える。お、おう。

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新たな力! ちょっとこの聖衣はいただけませんでした。

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