ゴーレムハーツ 2017年
ゴーレムハーツ 全2巻 大須賀玄 2017年
生活の全てがゴーレムに支えられる時代。心を持つゴーレム・ノアは自分をつくったレメクを認めさせるために人の役に立とうとするが失敗してばかり。軍に目をつけられたことをきっかけにノアは世界一の魔導学師を目指す。
ゴーレムが生活必需品となった時代
心をもったゴーレム・ノアは、自分を作ってくれたレメクの為に世界で二番目の魔導学師を目指す。
ノアを息子のように思い、庇うレメク。
レメクの頼みにより、世界で10人しかいない2つ星魔導学師エイルに弟子入りしたノアは、修行して力をつけ、世界魔導師連盟入門のテストを受ける。世界一の魔導学師の孫エレボスや人のいいカルルスと知り合ったノアはゴーレムの魔導学師として次第に認められていく。
ノアのために必死のレメク
そして四年後、成長したノアは、世界魔導師連盟入門のテストを受けにいく。
いや、試験はもうやめとこうよ。
ピノキオ物というか、人が作り出した人に近いものあるいは人を超える人造物を扱った作品はファイブスター、攻殻機動隊、キカイダー01、OZ、ロボサピエンス、A Iの遺伝子、22xxなど枚挙にいとまなく、ジャンプでも「すもも」や「マディ」が該当します。概ね人間を超える人造物、その可能性、人造物に人の心は宿るのか?能力で人を超える人造物が心も持つならばそれは人間の上位種ではないのか?辺りがテーマになります。今作でも、その辺りを深く掘りげれば面白かったと思うのですが、どちらかというと親子物になってしまいました。
ラストに出てくる力と邪悪な心を持つゴーレム。
ノアと対比する存在なのですが、あまりこの辺りは掘り下げられませんでした。
テーマの掘り下げもそうなのですが、構成の甘さが随所に出ているためこれぞ打ち切り漫画という出来になってしいました。生まれたてで素直なゴーレム・ノアはマスターを認めてもらうために手伝いをするんですけど役に立たない。失敗に対し、反省やフォローがなく日常愛されている描写もないためサイコさんみたいになってます。1話から主人公も主人公の身内も不愉快な話というのはちょっと…。
頑張って役に立とうと奮闘するノア。
普通こういうのは、厳しく指導するお目付役をセットにするか、迷惑をかけられている側が、愛を持って見守るか許すか、で主人公のミスをカバーするところなんですけど、普通に迷惑がっている上に全くそれが伝わらずに迷惑行為を続けていくので、主人公への好感度が1話からガンガン下がります。
迷惑行為を咎められても全く聞いていない主人公
このエピソードが連続して、特に叱られもせず、罰も受けず、愛のあるフォローもなし。辛い。
そのまま致命的なミスをおかし、尚且つ気がつかずに自慢するノア
役立たずからいざという時に役に立つギャップを出したかったのはわかるのですが、マスターの発言と合わせて主人公側に視点が寄りすぎてつらいです。
ノアの創作者・レメクからの謝罪。
なんですけど全然謝ってない。不快な上に不快。
更に、自分の管理不行き届きなのに逆ギレして煽る言動。2人合わせて最悪の親子。
まず、補償をしろ!お互い勉強になったじゃねーよ!これをギャグじゃなくて真面目にやってるのもきつい。
案の定、ジャンプコミックス初月売上の発行部数はワースト3にはいる散々たる売上でした。
また、旅立ちまで3話、試験開始が7話という進行の遅さがネックで、試験編からサブキャラを出したため、サブキャラが立たないまま話が進みました。ここで尺割いて合格しないリリベルなんなの。
ハンタ・ナルトから試験展開は定番となりツギハギやメタリカでもやってましたけど練り込まれてない展開が多いです。
連盟の魔導学師が突き止めた犯罪者集団のアジトから商品を奪還せよ!→先輩魔導学師はやられてました。ルーキーだけで解決せよ。
今回は下っ端の集まりだ。大騒ぎするほどじゃない。
連盟の魔導学師はやられてました
新人の力量を見るために上位魔導学師をサポートして逆賊ゴーレムを討伐せよ→先輩上位魔導学師はやられてました。ルーキーだけで解決せよ。
上位魔導学師をサポートしてリドルゴーレムを倒せ
着いたら上位魔導学師は死んでました。またかよ。
実力も、情報網も、作戦も連盟ガバガバじゃねーか!
リドルゴーレム事件を解決してさらに隣国から攻め入ってきたゴーレム軍をとめ、ランキング1位になって夢を叶えてお話は終わります。
まあ、ちょっと構成も、キャラクター造形も厳しかったとかなと…。主人公組の好感度が下がる演出が1話からというのは辛いです。このブログ書き始めてから5度目くらいになりますが、編集仕事しろ案件。こういうのは本人が気が付きにくいので、客観的に指摘してあげて欲しいです。