トーキョー忍スクワッド 2019年
トーキョー忍スクワッド 全3巻 漫画 松浦健人 原作 田中勇輝 2019年
近未来、犯罪都市になった東京では、裏の仕事を請け負う忍たちが活躍していた。鳴海仁は少数精鋭のスクワッド(部隊)を率いる天才忍者。仁が襲われていた子供・エンを拾った事から物語は動き出す。
無法地帯になった日本
忍の台頭
大人の主人公(と言っても青年だけど)と、それに憧れる少年の物語。形態としてはジャンプなら剣心、より近いのはフルアヘッドココ。
鳴海は追いかけられる少年を拾う
報酬も見返りも求めず、少年は仲間として受け入れられた
一、二話で世界一の犯罪国家日本の現状、そこで活躍する忍びたちの紹介。少年と主人公の関係性を描き、三話から組織の仲間紹介をしながら能力を見せていき、ライバル登場という教科書通りの進行なんですが、定石どおりすぎてパンチが弱いというか、この世界だからこそのキャラや話の展開がなく記憶に残りにくい作品になっています。
正直、近未来犯罪国家日本、マフィアたちが凌ぎを削り忍者が争う魔都トーキョーシティーというイメージがいい意味で強く、サイバーパンク忍術クーロン城とか、魔界都市「新宿」忍者バトル風味を期待してしまったので、想像に比して話がマイルドすぎた印象でした。
舞台設定は勝利してると思うの
変態忍術はもっと弾けてくれてよかったです。
どうせユニーク忍術なんだから和風から、sf忍術までばっちこいでしたよ。
異能でなくて忍「術」なので、覚える事も同スキル対決やマルチスキルがいてもいいのに出てこない事や、犯罪都市の割にそこまで殺伐としていないことあたりが設定を生かしきれなかった感。
人肉かき氷や人間爆弾はえぐいんですけど、やってる事の割に描写がエグくないんですよね。具に髪や爪や内臓もないし、人間爆弾にされているのがモブで爆発2ページ前に出てくるのでインパクトが少ない。設定的にこの辺りをやりたかったんじゃないかと思うんですけど、描写は控えめです。まあ、流石にジャンプだときつかったか。
人肉かき氷
人間爆弾
連載が続けば宿敵となったと思われる敵キャラもお互い認め合う系ではなく、サイコ系なのはいいんですけど殴り倒したくなるほどの悪役というわけでもなく、この辺りのキャラの掘り下げの中途半端さが、通して読むと大きなマイナスもないけど心に残るプラスもないという読後感を残します。
順調に仲間を紹介して、本部の講習でスクワッドのランクを上げる試験展開。他のスクワッドのライバルをだしつつ試験をクリア。更に試験の一環で闘技場でのバトル。展開がテンプレオブテンプレでした。なんというか、少年の目標となる青年の生き様か、近未来sf忍術バトルか、犯罪国家でのし上がるスクワッドのどれか搾りきれずに散漫な話になってしまった印象です。スクワッド講習とか闘技場とか必要だったかなと。
最後は第一話とシンクロ、仁に拾われたエンが成長した5年後、チンピラに絡まれている少年を助けます。次世代がまた次世代を育てる描写でエンド。
いいねえ!こういうの大好き!
「俺の船に乗らねえか?」
ですよ。
戦う大人のお姉さんお色気ありという貴重なキャラだったので、パピヨンは惜しかったと思います。
個人的には犯罪都市とスラム、忍者の設定を活かしてゴリゴリの変態忍術バトルに振り切ったのが見たかったです。進行といい行儀が良すぎた感がありました。