番外編 ゆうれい小僧がやってきた
フォロワーさんから、Twitter版でやってた4巻以上の打ち切り漫画もブログに上げてくださいというリクエストがあったので、ちょっとだけ番外編として追加していきます。
ゆうれい小僧がやってきた 全5巻 ゆでたまご
1987年
2身1体の妖怪百太郎、琴太郎は合体して亜鎖亜童子に変身し、火山の噴火により封印から逃げ出した108体の妖怪を退治するという妖怪退治物。前半はクラスメイトの関わる怪異を解決。後半はジャンプらしく西洋妖怪とのバトル物へ。
鬼太郎やどろろなどの名作妖怪退治物に憧れていたというゆでたまご先生による現代風妖怪退治物。妖怪退治物としては比較的ベーシックな作りで、正義の妖怪亜鎖亜童子がクラスメイトの周辺で起こる怪異や呪いと闘います。鬼太郎とかぬーべーとかに近いフォーマット。
人間の欲望が妖怪を引き寄せたり、過去の伝承を忘れた人間が安らかに眠る妖怪の目を覚ましたり、妖怪の生きにくい世界になったので妖怪が人間を利用したり、単に悪い妖怪が人間を苦しめたり、この辺りは妖怪物の定番と言ってもいいんですが、妖怪が流行りのパズルを使って2人の合体を阻止しようとするあたりがゆで先生です。
迷宮を破るときに亜鎖亜童子に組み変わりますが敵にダメージもないしこれを使って戦うわけでもないし特に意味はありません。ゲエエーじゃないんだよ。
特徴はニ身一体妖怪なんで、2人が離されたり、絆にヒビが入ると変身できなくなるという点。まあバロム1にウルトラエース、超機動員ヴァンダーなんかの形式で、主人公は強くしたいけど強いとあっという間に敵を倒してしまうので、合体前という段階を作り、同時に2人の関係性で物語を膨らませる手法です。
ただ、この作りのせいで、日本屈指の正義妖怪亜鎖亜童子をなかなかだせないため、実質的に百太郎ベースで話が進みます。主人公があんまり出ないというデメリットとストレスはあったかもしれません。子供心に焦ったいと思っていました。
前半路線のクラスメイトと妖怪退治路線も悪くなかったと思うんですけど、爆発的に跳ねるというほどではなく、2巻からは西洋妖怪との対決というバトル路線に進んでいきます。まあ、妖怪物の定番の一つではあるんですが、そこはゆで先生、一味違います。
ゲェーッ!妖怪物なのにリング⁉︎
妖怪がリングでプロレスというヤクをキメたかのような発想でバトル編に突入します。流石ゆで先生!こんなこと考えるの先生だけだぜ!そこに痺れる憧れるぅ!
と思ったら妖怪にプロレスをやらせる企画が現実にもありました。
どいつもこいつも何考えてやがんだーッ!!
白眉は、悪の西洋妖怪が攻めてきて、日本妖怪のアジトを聞くシーン。基地の場所を聞いておいて即虐殺を行い「これで、奴らの味とがわからなくなってしまった…」シリアスな笑いか?超シュール。
バトル編となればゆで先生の独壇場。もはや妖怪ってなんやろと考えさせられますが、超人オリンピックみたいな予選を経て7人の正義妖怪が選出されます。勿論このメンバーは妖怪募集で読者から募集した妖怪が何割かを占めています。
この辺りで読者も、ちょっとこれキン肉マンに寄せすぎじゃないかしらという疑問が頭をよぎりますがゆで先生は止まりません。
ビリヤードリングや竜巻リング、スケボーリング、コールタールリングと妖怪?こまけえことはいいんだよと言わんばかりのリングで西洋妖怪とのプロレスが繰り広げられます。
これが、妖怪の闘い?
流石に前作に寄せすぎたのか会えなく打ち切りを喰らうんですが、単行本版書き下ろしで一応ケリをつけるところまではやってくれています。
本誌のラスト。この後書き下ろし12ページで決着がつきます。
四次元エレメント交差の原形もかいまみえますし、なんだかんだでゆで先生好きなんでオススメはしておきますが、サイレントナイト翔、サイバーブルーなどと同様前作の大ヒットを引きずり過ぎた失敗の一つというのは否定できないと思います。
一応アニメ化のオファーが来てたらしいので、紙一重くらいだったのかもしれないですけど…。
前半路線で行って欲しかった作品です。
ところで、「妖怪物の漫画を描くと怪現象に出会う」という妖怪・怪奇物でよく言われる現象ですが、この妖怪プロレス漫画ですら作者は原因不明の体調不良に襲われたらしいので妖怪たちのカウントはだいぶシビアと思われます。オンドボハンランジキソワカ…。