Dear Anemone 全2巻 松井 琳 2024年

連載開始当初から、作者アカウントがXのジャンプ感想勢をブロックしていたという事と、作者が最終的にアカウントを消した事で少し界隈で話題になっていた作品です。こんなブログ書いといて何ですが、エゴサして病んでる作家結構見るから先行ブロックは処世術として仕方ないのでは……?
まあ、一味みたいな扱いでブロックされてた特に悪くない人は可哀想でしたけど……。
さて本編はジャンプでは珍しいホラーアクション。
ガラパゴス諸島で10年前に原因不明の爆発が起こり、島は有害物質に覆われ外界と遮断された。有毒物質の影響が無くなり派遣された調査隊は全員行方不明。
第二次調査隊として選ばれたのは、主人公鉢植萼をはじめとして訳ありの一般人だった。
外界から隔離された島で、15人の調査隊は未知の化け物たちと出会い、生き延びる為に戦う事になる。そんな中、鉢植はアネモネと名乗る植物生命体を身体に宿す。
とにかく書き込みと画面の密度が高く、新人とは思えない画力。これで連載続けられるのか?と心配されていましたがクオリティを落とさずに最後まで走り切ったのは凄いと思います。


一枚絵のインパクトも高く。画面の暗さも相まって他の作品とは違う異質なホラーの雰囲気はガッツリ。ホラー系の画面作りだけどキャラ自体はちゃんと可愛いのも◯。
ただ高い画力ながらデフォルメ感が少ないのでパッと見で誰なのかわからなかったりするのはちょっと課題だったと思います。リアルよりに描いてる分極端な身長とか髪型でなく、表情の変化とか海とか風とかの環境変化もちゃんと反映するので尚更コマ単位でのキャラの把握が難しいところがありました。
異能バトル+異種族バディ+サスペンスという欲張りセット。
動物バトルでアクションしつつ、バディとの仲を深めて協力してわかり合っていき、変異した自分の存在に悩み、人類の存亡に関わる壮大な謎を解き明かす。そんな構想は随所に感じられます。

身体に巣食う、明らかに人類と感覚の違う異種族アネモネ

主人公自体がアネモネとの適合で人類の範疇から逸脱していく
期待感はあったんですけど、序盤のレギュラーキャラっぽいあんちゃんが即死展開とかクリーチャーの異形性でせっかく作り上げたダークな雰囲気が、主人公が不死身すぎて危機感が薄くなってしまったのは痛かったです。
行方不明の友人を探しに来たという同期の弱さ、脇キャラのキャラ立ての弱さあたりもちょっと話に引き込まれてにくかったです。主人公以外の序盤のメイン3人、何しに来てるのかわからないですからね……。
敵か味方かわからない強者ポジションのウエアウルフ少女灰狼ちゃんとか美味しいポジなのに全然最後までいきてないですし……。
アネモネ、狼、カメレオン、クラゲという、仲間の中で主人公が最も特徴を出しにくい植物だったのも弱かったです。多分敢えて植物にしたら理由はあったと思うんですが、そこまで辿り着けませんでした。
序盤の目標、「研究所に行き生存者を探す」ミッションで敵側の存在、アネモネの因縁あたりは明かされるのですが、次の展開でスーツ着てパーティーという唐突な方向転換。全体的にガラパゴス諸島が生きてないんですけど、これは打ち切りが決まった作者がせっかくだからスーツ着た主人公パーティとかウサギ獣人のお茶会とか描いてやろうと思ったのか……。前エピソードでいったん退場したロベリアがすぐ出てくるあたり、本来の予定ではなさそうなんですよね……。

そんなわけで結末に向けて爆速で鉢植とアネモネのコンビが親密度をあげてしまうので、アネモネはちょっと悪態ついてたけど一瞬でデレたチョロインになってしまうのでした。

ラストは存在しない記憶で、今までになかったエピソードを振り返ってエンド。一応目的だった親友と再開して、心の強さも手に入れて、成長したよ。ってまとめて入るんですけど、取ってつけた感は否めませんでした。

最後にちょっと読んだ人が誰もが考えた事んじゃないかということを書いておくと、
「なんらかの因子により遺伝情報を取り込んだ動植物の能力を使えるようになった訳あり調査隊の面々が、閉鎖環境で独自進化を遂げたクリーチャーとバトルを繰り広げながら、政府の目的、事故の原因を探っていく」
この設定ですね……、テラフォーマーズと丸かぶりですやん……。いや、地獄楽みたいとかも言われてましたけど、僕初見の感想、寄生獣+テラフォーマーズやったですもの……。
「なんかなあ、おかんが言うには動物の能力を宿した人間が戦うらしいねん」
「テラフォーマーズやないか。それはテラフォーマーズや。テラフォーマーズはスズメバチの毒針とかシャコのパンチ力とかプラナリアの再生力とかで戦うもんな」
「でもオカンが言うには、身体に宿った生き物と相棒になるらしいねん」
「ほなテラフォーマーズとちゃうかあ」
「オカンが言うには閉鎖環境で独自進化した地球の生物とは一線を画した戦闘力を持つ生物と戦うらしいんよ」
「それはテラフォーマーズや。テラフォーマーズは火星で独自進化した異常に強い上に人型のゴキブリと戦うからね」
「でもオカンが言うには主人公が気弱ないじめられっ子らしいねん」
「ほなテラフォーマーズちゃうか、テラフォーマーズの主人公は一部も二部もめちゃくちゃ武闘派やからなあ」
「でな、オカンが言うには戦う動物のやモデルは狼、カマキリ、ヒトデ、ラーテルとからしいねん」
「そらテラフォーマーズや。狼とかカマキリは他の漫画でも出てくるけどラーテルやヒトデをモデルにした動物を出すんはテラフォーマーズやろ」
「でもオカンが言うには主人公の能力は植物らしいねん」
「ほなテラフォーマーズちゃうかあ」
いや、動物の能力を使ったバトル自体はライダーや戦隊は言うに及ばず、ジャンプでもグリーンアイズとかヨアケモノみたいな前例は存在するんですけど、動物解説パートとか見せ方とかがどうしても連想してしまったんですよね。