津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

ハイファイクラスタ  2014年

ハイファイクラスタ 全3巻 後藤逸平 2014年 

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才能をダウンロードして使えるようになった近未来。才能を使う才能がない平太は、才能社会の根幹になる偉人の才能をつかえるHiFiを手に入れたことから、対才能犯罪警察組織・六攻特課に入局することになる。

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偉人由来の能力バトルはワクワク感はあるんですけど、2年前にハングリージョーカーが既に通過してるんですよね…。ちなみにノブナガンは3年前。奇しくも3作ともニュートンに重力使いの能力を付与しています。もうニュートンを解放してやれえ。

 

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才能を使うことができない平太の無力感からの言葉とハイファイを無理やり使用して戦う貫寺の掛け合い。
「何がなくとも誰にでも 愛と勇気は標準装備だろうよ」とか、

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ラスボス景観モグラの中2がかった台詞回しとか好きだったんですが、

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なんかそれに見合う中身が提示されないまま終わったので、ボスの印象も薄いという…。

 

全体的にラノベの手法で描かれている為、好みは分かれたと思います。偉人バトルはいいんですけど、主人公の能力がステータス閲覧なのは地味すぎた感がありました。文章で読ませるラノベだと鉄板能力で応用も効くんですけど、漫画だと動きとして見せにくい、主人公に派手な活躍をさせにくいと言う難点があり、ステータス閲覧だからこそ隠し技なんかもなかったので兎に角主人公の影が薄いです。

もう一人の主人公貫寺も、佐々木小次郎のハイファイを適合者でないのに無理やり使用していると言うキャラで、能力社会に適応できない主人公と、無理矢理適応している先輩という対比にはなっているんですが、作劇上似たような苦境に陥ってしまうため、爽快感が薄かったです。

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聖徳太子のハイファイが、10人の話を同時に聞く→マルチタスク→10本の腕を同時に操るになるところとか、ひねりが効いて面白いととるか、そうはならんやろ!ととるかあたりでも評価はわかれそうです。

 

佐々木小次郎がSSK=KZRだったり、宮本武蔵がMYMT=MSSだったり、聖徳太子をSTKTSと表記したり呂布がRFだったり何故そんな2ちゃんねるみたいな表記を…。わかりにくいから普通に偉人の名前でいいだろ!

 

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まあベートーベンは変にひねらず音使いで良かった気がします。

 

 

ジュウドウズ  2014年

ジュウドウズ 全3巻 近藤信輔 2014年 

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オリンピック金メダリストを一蹴する柔道の鬼の村、八破羅村では年に一度、異次元の柔道祭ジュウドウズが行われる。柳華は柔の天才・兄陽志に追いつくため、ジュウドウズ優勝を目指す。

 

オリンピック金メダリストが目標とする八破羅越え

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八破羅村で行われる柔道バトルロイヤル

ジュウドウズ
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主人公の華が兄を越えるためにジュウドウズを勝ち抜く姿を描くのですが、金メダリストとの対決→ジュウドウズでの村の猛者、大外刈りの獣の我治との対決→10年八破羅に君臨した兄と王屋主水に次ぐ実力を持つ第三の男・斗賀歩武との戦い→王屋主水との戦いで終了。前回のヨアケモノもそうですが、強力な個性を持つ集団を出すなら早めにしたいところです。王屋十折が遅すぎた…。

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第三の男・斗賀歩武のせいで前半に出したネームドキャラがほぼモブ扱いになってしまったのも痛く、出すなら王屋十折を一巻のうちに出しておきたいところでした。

 

3番目の実力者との対戦。そうなるとそれ以下のキャラが全部モブになっちゃうと言うことで…。

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濃いキャラたちがほぼモブになってしまったので華の実力をみせる為の我治以外は王屋十折との団体戦とかで活かしたかったところです。

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一応戦うんですけどほんとにやられるためだけに出てきてるんですよね。

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明らかに王屋十折が柔道の枠を超えているのでいっそ古流拳法にしておいた方が受けはよかった気はします。え?破傀拳がなんだって?

 

作者も単行本コメントでキャラを活かしきれなかったことを後悔していますが、趣味丸出しで受けなかったよりは、使い方だったと思います。忍極も趣味丸出しですけどうまく活用してますからね!

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外見も行動もイカれた魅力的なキャラだったんですが、王屋十折が出した回で打ち切りが決まったらしく、活躍するところはほとんど見れませんでした。無念。

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あとは、ラスボスにしては兄・陽志がいい奴すぎてキャラが弱かったかなあ…。

ライガーを投げるとか外連味はあるんですけど、王屋十折のキャラに負けちゃった印象。

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次回作の忍者と極道では、イカれたキャラを存分に活かし、序盤から帝都八忍と破壊の八極道の存在を明かしつつ少しづつメンバーを出していくという無駄の少ないキャラの使い方と溢れる外連味、ルビ芸を武器に大ブレイク中。

 

いいよね、官憲斬棄(ポリストラッシュ)。

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リメイクの発表のたびに貼られる、「幻想(ユメ)じゃねえよな…。」「還ってくる!俺たちの黄金時代(オウゴン)が還ってくる!!」のコマは読んだことなくても見たことある人は多いかもしれません。

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もうブレイクしたといっても過言ではないかもしれませんが、この調子で行ってほしいですね。

 

 

ヨアケモノ  2014年

ヨアケモノ 全2巻 芝田優作 2014年

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2人の罪人の少年は、侍狩りをして腕を磨き、名をあげようとしていた。兄貴分の銀は、新撰組に入ることで成り上がろうとするが、長州の手にかかり死亡。残された刃朗は、銀の意思を継いで新撰組に入隊する。

 

底辺から成り上がる唯一の方法 新撰組

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銀は夢半ばして命を落とす

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バディの兄貴分が開幕で亡くなり意思を継ぐと言う形態は、SANTAやガンブレイズウエストでも行われたある意味王道のスタートであり、短くても二人の絆を描く事で意思をつぐモチベーションを表すことができます。ここに、物語の軸となる新撰組と獣の刃、主人公の資質を描くことで、主人公の性格、資質、モチベーション、これからの目的、目標となる場所の高さを示した完成度の高い1話となっております。

 

内容としても獣の能力×新撰組という刺さりそうなジャンルだったんですが、刃郎の新撰組への入隊試験での沖田との対決、最初の実践での吉田稔麿との対決、生涯の友市村鉄之助との出会い。人斬り以蔵との対決。ラスボス坂本龍馬との決戦で連載は終了します。

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獣の能力を持つ新撰組

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主人公の境遇とか、相方への思い入れとかの描き方はエモかったんですが、新撰組をメインにするなら幹部メンバーを早めに出すべきだったかなと思います。市村鉄之助はちょっと弱いかな…。

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40年前は新撰組といえば近藤、土方、沖田だったんですけど、現代では斎藤、原田、永倉、藤堂、山崎、島田、時代によっては芹沢、山南、伊東あたりまで求められる上に人気も相応に高いため、新撰組が題材の時点で初期に幹部メンバーの顔見せは必要だったと思います。

 

勢揃いするんですけどちょっと登場が遅めでした。

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ちなみに各隊士の能力は、近藤の金獅子、土方が狼、沖田が猫、永倉が虎、斎藤が鷹、藤堂が兎、原田が猩猩、山崎が面梟、島田が馬、市村が雪豹となっておりましたが、土方、沖田、市村以外の能力はほぼ明かされませんでした。

 

また、初期から登場する沖田の強さが隊で1、2を争うはずのなのに圧倒的でなかったのもインパクトに欠けました。

 

鉄之助とのタッグで以蔵に挑み、昔のバディを思い出して、「どっちかが死ぬのは、もう無しだ!!」とか、獣として扱われた自分の過去と以蔵の過去を対比させるとか構成はうまいと思うんですけど、話が実直すぎて外連味にかけるところなんかがZIPMANにも通じる作者の弱点かなと。

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色違いの獣刃は化け物じみた力を持ち、かつて芹沢鴨が使用していたことが匂わされます。赤の獣刃を探せというところから、終盤は打ち切りが決まったのか、幹部勢揃いして池田屋突入。からの五重塔

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赤穂浪士の子孫対沖田総司藤堂平助、三大人斬り中村半次郎斎藤一、三大人斬り河上彦斎永倉新八脱出した吉田稔麿原田左之助桂小五郎対鉄之助、坂本龍馬対決土方歳三&刃朗と夢のカードを示しつつ対決シーンはカット。

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俺たちの戦いはこれからだエンド。

 

どちらかと言うとこの味方幹部対幕末レジェンドバトルを見たかった気がします。序盤にこれをやって幹部のキャラをある程度たてていたら…。

 

もう一つ、バトル物としては割と致命的だったと思うんですが、戦闘スタイルの幅が少ないです。獣の力で気配を消す、無尽蔵の体力、ピット機関で死角がないなどはいいんですが、戦闘したキャラの半分がスピード特化型なんですよね…。スピードも、身体能力でのスピード、動作の最適化、気配を読む、未来予知などバリエーションを変えてくれればよかったんですが…。

 

神速の突き技!

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最上級の速さ!狼の能力
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強靭な脚力の踏み込みのうむ速さ!
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腕のしなりを活かした切先の速さは音速を超える!
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で、どれが速いんでしょうか?

折角の獣の能力が活かしきれてない感が凄いです。

 

 

 

三ツ首コンドル  2014年

三ツ首コンドル 全3巻 石山諒 2014年 

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かつて大陸を支配した魔女が残した、様々な力を持つ宝が隠された魔宮。伝説の盗賊団三ツ首コンドル首領にして「常闇の三大盗」マシマロと正義の盗賊を目指す駆け出しのスーは魔女の宝を集める旅に出る。

 

奇跡を起こす魔女の宝物が眠る魔宮

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主人公は三大盗の1人マシマロ

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正義の盗賊を目指すスー

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初期は魔宮の探索を行い魔女の宝の入手のトレジャーハント、ダンジョン探索物ですが、伝説の三大盗が主人公であるため、ダンジョン探索に対するワクワク感やスリルはありません。また、マシマロ自体が見た目は普通で実は凄いというキャラなのでビジュアル的なインパクトと弱かったです。このあたり、驚き役のスーがいるとはいえ、盛り上がりにかける展開となりました。

 

中盤から全ての宝を集めたものは大陸を支配できる程の魔力を手に入れることができるという伝承から王族との確執、過去の三ツ首コンドルが王家と対決して敗北したことなどが語られていきます。更にコンドルのボス同士の因縁、魔女の血族など後半に行くにつれて話のテンションがあがり、キャラクターも同格のキャラが登場することによって映えていきます。

 

魔女の宝

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マシマロの目的は王家との戦いで死んだ団員を生き返らせること、三大盗の1人ハヴァの目的は王家を含めた人の上に立つこと。王の目的は王家の力を盤石にするために宝を集めること。と三すくみになるかと思いきや、ハヴァがあっさりキングを殺し、さらに三大盗最後の1人オリーブも殺してしまいます。ちょっと面白くなってきたところで加速する展開。なんとか構想を詰め込みたかったと思うんですが、急ぎすぎた感はありました。しかし、後半の濃密な展開とキャラの立た方は前半より格段に面白くなっており、評価も高いです。

 

マシマロの目的

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ハヴァの目的

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王家の目的

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瞬殺される国王

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本来の構想を実現するまで尺が持たなかったと思われますが、そのまま元三ツ首コンドルのアジトに攻めてきたハヴァと戦いマシマロは命を落とし、魔女の血族に覚醒したスーは宝物の力を完璧に引き出しハヴァと対峙します。

 

数年後、新たな三ツ首コンドルの首領となったスーは宝物を集め、マシマロを蘇生するのでした。終盤早いながらも綺麗に話をまとめてきちんと完結したところは評価にあたいすると思います。

 

単行本には初代魔女の生い立ちから伝説となるまでが絵本調で書き下ろされており、物語に深みを加えています。前半のスタートダッシュが遅かったものの、トータルの完成度はなかなか高く、単行本で読むことが推奨ではありますが、打ち切り漫画のなかでは佳作といってもいいと思います。

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TOKYO WONDER BOYS 2014年

TOKYO WONDER BOYS 全1巻 作画 伊達恒大 原作 下山健人 2014年 

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2人の現役高校生が弱小2部プロチームを崖っぷちから救うサッカー漫画。
 なんか既視感なんですが、世界を目指す高校生と全国を目指す高校生のタッグがドイソルに近いんですよね…。

通称東京湾。海外志望の天才高校生ストライカーと無名ながら高いポテンシャルを持つシャドウストライカー2人が、かつて憧れた選手の古巣を建て直し、憧れの選手のなし得なかったチームのACL出場を果たそうとするんですが、海外志向の選手が底辺2部に入団する動機としては弱いかなというところから開始。

 

2部の崖っぷちチーム西が丘

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海外クラブを狙う天才ストライカー樋本
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無名ながら高い資質を持つ南條

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2人は子供の頃西が丘のエースだった天河歩人に憧れていた共通点があった
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3話かけて入団する2人
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部活ならともかく、プロを高校生が0から立て直すのは流石に無理があると共に、超高校級なら2部落ち間際のチームくらい圧倒して欲しいけど、2人の高校生に圧倒されるチームでプロリーグを戦い抜けるのかという問題。更に2人が苦戦すれば2部程度に苦戦する2人の補強でなんとかなるのかというジレンマ

 

高校生が即戦力

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タイムパラドックスゴーストライターの主人公でも物議を醸しましたが、伊達先生の癖なのか、キャラクター特に主役が微妙に読者のヘイトを煽ります。特に面白くないジョークと会話のズラし、ビッグマウスがイラッときます。もう1人の主人公が真剣なだけにギャップがあり、序盤でこれは悪手だったかと。

 

頻繁に挟まるギャグが真剣さを削ぎます。

これで南條、監督はかなり株が下がったと思います。

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漸くチームに合流してスタメン入りをかけてレギュラーとの試合をするんですが、スタメンも不必要にギャグで絡んできます。

BLEACH銀魂ケロロなどの脚本を担当、ニンニンジャーとジオウのメイン脚本を務めた下山健人先生の初漫画原作なんですが、何故こうなってしまったのか。銀魂のテイストが透けて見えており、ギャグが好きなのはわかるんですけどこれは悪手だったかと。

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結局戦術的なサッカーをやっていたのはラスト3話くらい。2部リーグの試合に一勝して物語は終わります。

彼方セブンチェンジから5年ぶりの1巻完結。この後に1巻完結は、バディストライクが最後になります。

 

 

ステルス交境曲 2014年

ステルス交境曲 全3巻 作画 天野洋一 原作 成田良悟 2014年 

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英雄「マイムロンド」がドラゴンを月に追い払ってから100年。様々な種族が暮らすようになった街にあるV&V綜合警備保障、そこには特殊能力を持つ社員が務めていた。透明人間藪雨トロマは夢も目標もなく、自分の中身を探す為依頼を受ける。デュラララ‼︎の成田良悟原作のファンタジー

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ジャンプではかなり珍しい作りの作品で、小説1冊分をコミック全3巻で漫画化したような形態。
原作がキャラと状況が複雑に絡み合うような内容の為、1・2話の導入回以外は途切れずに話が進んでいく事から、一気に読まないと話が分かりにくい、途中から入りにくいという難点がありました。

 

入り乱れるキャラクターや、二つ名持ちの特殊能力者、丁寧語で目的のない最強種主人公など、ジャンプというよりはラノベ傾向が強かったです。話自体は面白いんで、月刊でじっくりやれればという印象。週間でアンケは厳しかったのではないでしょうか。

 

複数の勢力が入り乱れ、二つ名持ちの特殊能力者が戦うというラノベ展開は小説なら良かったんですが、週間のボリュームだといささかわかりにくかったと思います。

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初回から警備会社のランカー勢揃い。次々と登場する暗殺ギルドやサイボーグの集う機兵学舎、オーパーツ・竜の遺産、最強の竜・黒竜、魔術師の呪いと息を吐かせぬ展開で進行し、無駄な回がないところは流石の成田先生。天野先生のややクセのあった絵柄も、かなり洗練されています。

 

しかし、世界とキャラクターの紹介的な1話から全てつながっており、主要人物が立場を変えて戦ったり、主人公格の少年の過去が捏造されていたり、第3、第4勢力が出てきたりと週間で把握するのはちょっと大変だったのではないかと思います。単行本1話となる序幕の開催がジャンプVS掲載、2話が本誌掲載という形態も把握しづらさに拍車をかけます。そもそも、序幕の主人公と、2話からの視点となるキャラが違うんですよね。群像劇なんでありといえばありなんですが、まあわかりにくくなったのは否めない…。

 

序幕。掲載はジャンプVS。

主人公藪雨トロマの登場。視点人物は依頼人であり、後に同僚となる女の子。

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女の子視点で、世界観、トロマのキャラクター紹介、どんでん返し、ラノベっぽい言葉遊び、ランカー勢揃いと進む完成度の高い1話。

ただこれ、ジャンプに掲載されてないんでトロマとヒロインの立ち位置が連載版だとわからないんですよね…。

 

トロマの立ち位置

透明で見た目が見えないからこそ中身を大事にするマニュアル人間。この辺り主人公ぽくない造形です。

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ラノベ的掛け合いとトロマの正体
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メンバー勢揃い

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話自体はまとまっています。トロマのキャラが少し弱いですが、連載版で掘り下げるなら許容範囲。特性としては最強種である透明な竜で自分を探す(現在)はマニュアル人間と、最強主人公バトル以外での弱点ありというバランサのキャラになっています。

 

しかし、連載版からはジグくんという呪いをときに街にやってきた新たな視点キャラを中心に話が進行します。これがかなり痛かった感があります。自分の呪いを解きにきたジグは、V&V警備に相談して、トロマたちのサポートもあり呪いではなく「竜の遺産」という奇跡を起こすアイテムによるものという事、優しくしてくれた院長が金儲けのために自分を利用していたことを知ります。真実を知ったジグ遺産を取り外す事を目的に働くことにします。

 

仕事を探すジグは機兵学舎というサイボーグたちの学舎で仕事を見つけるが、敵対するのは自分を助けてくれたトロマ達V&V警備の面々だった。

 

目隠れサイボーグ巨乳猫耳ヒロイン・ライカ

ダークエルフのボンデージメガネ女署長ヴェロニアと並んで業を感じるキャラクターデザインです。

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竜巻の巨人

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レーザーを曲げる忍者

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設定上強さを競うような話にはしないということで、めいいっぱいインフレしたバトル

 

己の立ち位置を確立していくジグ

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名前だけならセーフなのか!?土下座衞門

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前回から敵味方が逆転という構図。ジグくんは無力ながらもヒロインや周りの理解を得て成長していくかという趣なのですが、更にどんでん返しが待っています。

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呪いではなく竜の遺産、ですらなく、ジグの翼は竜の卵。ジグ自身が竜だった。

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100年前に月に追い払われた竜達の長、黒龍のバックアップ

 

竜達は異世界からの来訪者であり、魔術が衰退した本来の故郷地球へ帰還しようとしている。そのために必要なのが黒龍の遺産である箱舟。

箱舟が起動すれば街が吹き飛ぶ。怒涛の設定開示。

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立場が入れ替わり、設定が秘匿されたこの物語のもう一つのネックが主人公。時々語られていた、情を交えず依頼を守るというルールを遵守する姿が、人間を見ていないということが言及されます。これ、主人公に感情移入できないんですよね。

 

一応この事件を契機に変わっていくという予定だったのらしいですが、スタートエピソードに3巻は長すぎました。

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黒龍とジグの件にケリを竜が帰還してくるところで話は終了します。

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結末はなかなか衝撃的ながらも、きちんと話の区切りはついており。わかりにくかった諸々の設定も開示されていきますが、やっぱり続けて読まないとかなり厳しいと思います。作中の謎の秘匿と開示の様式がミステリに近いせいで、単回で評価しにくいんですよね。

 

アリスやライカやヴェロニアのヒロインズは可愛かったので、トロマが感情移入できるカッコいい主人公なら押し切れたかもしれないのですが、トロマが心がないに近い主人公、視点キャラのジグが心を失っていく主人公なので、読者視点で読む上で、読みにくくなってしまいました。

 

美麗なそれぞれの立ち位置のキャラクターや、暗めの設定の多層構造なお話が好きならアリだったのでしょうが、万遍なく受けるにはちとハードルが高すぎたと思います。

 

 

 

 

アイアンナイト  2014年

アイアンナイト 全3巻 屋宜知宏 2014年 

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人間がゴブリンと呼ばれる怪物となり世界を破壊する中、ゴブリンになりながらも人々を守るために戦う小学生鉄兵を描いたダークヒーロー物。打ち切り漫画の中でも導入の完成度は1.2を争う程高く、人気も高い良作です。僕これ大好き。

 

構成がしっかりしており何を描きたいのかが明確なのが好感。
1話だと、尊敬する警察官の父との人を守るという約束、居候先の幼馴染みヒロインから2人の関係を象徴する励ましのキス、一転する世界の崩壊、異形のものへの変異、記憶と人間性の喪失の危機、人々の想いによる自我の回復、ゴブリンと戦うという決意表明。スムーズな展開。何度でも立ち上がってみんなの世界を守る為に戦うという咆哮でおわります。タイトルはRISE(立ち上がる)

 

初めてのキス、2人の仲が淡いけど確かな両思いである事が端的に伝わってきます。

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世界の崩壊
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自我の喪失の危機
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街の人々の想いが、意識をとりもどさせてくれる
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街のみんなを守るために立ちあがる
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2話では能力の使い方の上達、過度の使用による死のリスクの判明、それによって能力を出し惜しんだことから出てしまうゴブリンの被害者、暴走、2番目のヒロインの登場、心をもったゴブリン仲間がいることへの希望。

 

能力の使い方は上達するが、使いすぎると自分の熱で溶けてしまうことが判明

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能力を出し惜しむことで新たな死者を出してしまう。小学生主人公にはちょっと重すぎるよ。

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冷却の力を持つ第二ヒロインの登場

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3話でゴブリンに支配された集団との出会い。その中での知り合いと再開。前回の反省から後先考えないで支配者とのバトル。

4話でダークヒーローだからこそ受ける父をゴブリンに殺された友達からの罵声。それでも折れない心。

 

ダークヒーローのど定番。友達からの罵声。

この辺りが重すぎましたかねえ。

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それでも折れない心。この辺りも悲劇を挽回するくらいに熱い展開なんですけど

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5話で戦略を立てた上でのバトル、友達との和解。

 

バトルもやれることの幅を増やしながら戦略をなって戦う丁寧な描写

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と超スピーディかつ、抑えるところは抑えた無駄のない展開が続きます。6ー12話で安全地帯への移動を目的に軍人のゴブリンとの対決、新たな技の習得、ヒロインとの再会と進みますが、このパートがやや長かったかなという程度。

 

心を失ったヒロインと再会し、安全地帯の守護神としてヒーローになる鉄兵だが、街を崩壊させた因縁のゴブリン集団が来襲。不死身のゴブリン天地は、ヒーローアイアンナイトを作ることで、人が集まり逃げない場所を作り、人間の殲滅を容易にすることが目的だったという、束の間の幸福からの再転落。

 

街の守護神としてヒーローになる。やっと訪れた幸福な展開。ヒロインの回復のきざし。束の間の幸せな日々。

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これすらも悪役のシナリオだった。

重い。
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政府から化け物扱いされつつも、救援が来て街は守られて、心を失いながらも自我のかけらを覗かせるヒロインと過ごす日々というようやくの陽展開から即効での鬱展開。守りたい人々を逃がそうとするも、一緒に戦う、応援すると立ち去らない街の人たち。勝てないことを悟った鉄兵は、暴走したフリをする事で街の人間を逃す。

 

街の守護神と呼ばれても政府の役人からは化け物扱い

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勝てないのに天地の思惑通り逃げ出さない街の人々

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人々を逃すために、今まで築いた信頼を捨てることとなっても暴走したフリをする鉄兵

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最終話は第一話と対になるタイトルRISES。

街から人々が逃げ出す中、一緒に戦った仲間や友達が戦うことを誓い、1話で1人立ち上がった鉄兵だけでなく、俺たち一人一人が立ち上がるという咆哮で終わります。

 

1話と対となる最終話。こういうの好きよね。

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単行本版はさらにおまけがあり、第二ヒロインが、政府から送られた暗殺者だったというさらなる鬱展開が明かされます。

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B.B.並に不幸な主人公。もう人間に戻ることはできず、守ってきた人間から排除され、ずっと肩をならべて戦ってきた相棒は政府の仕込んだ暗殺者。これでメインヒロインが人間に殺されたら口から炎吐いてゴブリン軍団を結成しそうな勢いです。

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単行本収録の特別編は本来雑誌でやりたかったであろう。1話から繋がる苦難に折れない少年と、少年と関わった人々の絆の物語に着地します。 

 

おまけ分も含めて熱い展開目白押しなのになぜ終わってしまったのか…。主人公の変身後がもう少しカッコよければという気はちょっとしますけど、カッコいい異形は難しいですよね…。

環境も展開も暗めで主人公も真面目に考えるタイプだからこそ悲劇が際立っているんですけど、少年漫画だとこの悲劇を蹴っ飛ばして笑いながら前に進む明るさと強さが欲しかったかもしれません。メインヒロインが意識を取り戻すのが番外編なので、再会を素直にやればよかったかなあ…。

 

ダークヒーローは、暗い話になりがちなので人気が出にくいのか、ジガ、歪のアマルガムと失敗が続きます。僕どれも好きなんで、ダークヒーローが好きなだけかもしれませんが、アイアンナイトと歪のアマルガムは惜しかったと今でも思ってます。ジガはちょっと重すぎたかな…。

 

突然世界が崩壊して異形の化け物に成り果て、尊敬する父と顔を合わせないままおそらく生涯の別れとなり、想いをよせる幼馴染とお世話になったその家族とも離れ離れになり、小学生の自分1人で化け物が蠢く世界を生き抜かないといけなくなり、少しづつ能力を確認していたら使いすぎると死ぬことに気がつき、気をつけて能力をセーブしたらそのせいで死んだ人々を目の当たりにして、ようやく生きた知り合いと出会えたら家族を殺した化け物と罵倒され、頼りになる戦える大人とであったとおもったら人当たりのいい軍人は頭のいかれた快楽殺人者で殺し合うことになり、ようやく生き残りの集落に辿り着いたものの街を護っているにもかかわらずお偉いさんからは化け物と呼ばれ、心を失くした幼馴染も回復の兆しを見せたと思ったら全てがゴブリンの罠で人間を集める餌として使われていたことを知り、今までの信頼を投げ捨てて暴走したことにして街の人をにがし、それでも戦って敵を倒したらもう人間には戻れない体になっており、護った人々からは化け物の仲間みなされ、たった1人残った一緒戦ってくれていた知性を持つゴブリンは自分用の暗殺者だった。

まあ、十分重いです…。だからこその少年の孤独な戦いが際立つんですけど、大人はともかく小中学生にはスカッとしない話だったかなあ。