神緒ゆいは髪を結い 全4巻 椎橋寛 2019年
「ぬらりひょんの孫」の椎橋寛先生によるスケバンバトル漫画。最近なんで覚えてる人も多いと思いますが割と経緯に謎の多い作品です。金・容姿・頭脳に恵まれたちょっと性格に難のある鍵斗が一目惚れしたスタイル抜群でお淑やかな美女・ゆい。しかし、清楚な白ゆいが鎖を解くと伝説のスケバンになるのだったというラブコメ。というより初期は割とエロコメよりだったのですが、15話より突然ご当地スケバン変態バトル物に路線変更します。
初期はTOLOVEるみたいな展開。
この手の漫画にしては、ハイスペックでいけすかないイケメンである鍵斗を主役にしたのはウケが悪かったと思います。まあ、後の布石だったのかもしれませんが…。
ラブコメが不評でバトルに移行したのかと思いきや、一巻の袖を見ると初期タイトルが「スケバン猛将伝」。アナクロすぎてダメ出しされたのでエロコメ路線をミックスしたのか、リボーンみたいな日常→バトルをやる予定だったのかこの辺りが不明ですが、読んでる側としては急激な路線変更に戸惑いました。
表紙の絵柄などかなり頑張って今までの作風と変えていたあたりは好感が持てますが、正直ラブコメ路線は新鮮さがなかったので、1周回って新しいご当地スケバンの方が好みではありました。実際SNSでも盛り上がっていたと思いますが、この路線が固まり切る前に連載終了が決まってしまったのが痛かったです。
表紙絵はかなり絵柄をかえてました。個人的にはかなり好み
見開きスケバン対決+描き文字が出たのが三巻の頭。この後、死のバイオリンスケバン、人造スケバン、日本最古のスケバン、怪光線お釈迦スケバンとどんどんと常軌を逸した能力バトルになるとともに盛り上がってきたのですが、時すでに遅し…。
蟲を利用して少女を戦士(スケバン)にする。この設定を早く出しておけば…
いや、それにしてもスケバン達が山風忍法帖並みの異能を使う理由としてはよくわからないんですけど、音を聴くと死に至るバイオリンやら、人形と同じ運命を辿る力やら、エネルギー波を出す能力ですよ?
フランス外人部隊より御庭番衆より強いスケバン
終盤登場したお釈迦スケバンに至っては、令和の時代に「シャカの目が開いたーっ!」を目にすることになるとは思いませんでした。まあ、ここは流石に連載終了が決まってはっちゃけていたのかもしれません。しかし、序盤から怪光線お釈迦スケバンくらいはっちゃけてくれていれば忍者と極道みたいになれたかも…。惜しかった。
まあただ、序盤の日常系エロコメ(ファンタジーの度合いがゆいの二重人格くらい)から突然のスケバンバトルという落差にやられた面もあると思いますので、1話から都道府県スケバンバトルを全面に押し出されていたらここまで心に残る作品にはなってなかったかもしれません。さじ加減の難しいところ。
コミックのスペースで披露されるご当地スケバンが哀愁をそそります。津尾さんは岐阜の木刀二刀流スケバンが好みでした。
登場しなかった巨大化スケバン、闇照大御女神スケバン、脳漿スケバンフリッカ、分裂スケバン、地獄基地スケバン、播州皿スケバン、装甲師団マッドスケバンあたりも見たかったですね。
というわけで番外編も今回で終了。
4、5巻完結の打ち切り漫画のとしては、比較的名作の声の上がる「タイムウォーカー零」、「マインドアサシン」、「みえるひと」や「ワークワーク」、伝説のプレリュード「タカヤ」、小畑先生の原点「サイボーグGちゃんG」、ジャンプでやるには地味すぎた「影武者徳川家康」、最近でもちょっとやりたいことがわかりにくかったけど人気はあった「ニライカナイ」、最後の超大物「サムライ8」なんかがあるのですが、まあその辺りは機会があれば……。