番外編 アカテン教師梨本小鉄
アカテン教師梨本小鉄 全4巻 春日井 恵一 1986年
博打の天才破天荒教師梨本小鉄が、博打を通して生徒に人生を教えていく人情ドラマ。初期は博打で生徒を鍛えたり、トラブルに巻き込まれた生徒を助けたり、クラスの成績をカンニングであげたりと学園ものなんですが後半トーナメントが始まります。
まあ、初期も生理現象と時間の組み合わせで集団カンニングを行い、「この程度の不正行為が分からねえ教師に教壇に立つ資格はねえよ」とか無茶苦茶いってるんですが、経営難の生徒の喫茶店を助けたり、登校拒否児を生徒会選挙に勝たせるなど人情物の一面もあります。
生理現象を使った「通し」で集団カンニング
無茶苦茶言うなあ
福本先生でもやらないような札束便器流し勝負で高利貸しをギャフンと言わせたり
後半貴王子が登場したあたりから雲行きが怪しくなります。最新の設備と最高の環境で行われるエリートによるエリート教育、人呼んで「教育界の貴公子」。小鉄の生徒を貴王子が教育する事で一悶着あり、解決した直後、「全日本有能教師トーナメント」が始まります。
教育漫画で!
トーナメント!!
GTOでもない展開!!!
7人の超教師ってそんな7人の悪魔超人みたいに言われても…。異様にクセのある教師集団が集められ、コンピュータージローも加えトーナメントが開かれる事になります。暴力教師、警察教師、博打打ち×2、超能力教師、女性上位教師、エリート教師、コンピューター、ろくな奴がいねえ!
しかもトーナメントとは名ばかりで、小鉄は各人の過去のトラウマをついてリタイヤさせていきます。いや、これ、指導力とか全然関係ないし、そもそもトーナメントしてないよね?
決勝はネパールの超能力教師。テレパシーで生徒に答えを教えるカンニングで勝利を目指します。結局カンニングかよ!
しかしアビ先生は、小鉄の天に向かって唾を吐くと虹ができる技を見て戦意を喪失してリタイヤします。なんで?テレパシーカンニング続けてたら勝ってたよ?理屈はよくわからないですが雰囲気で小鉄が勝ち進み、コンピュータとの一騎打ちに。
小鉄の選んだ勝負内容は「ジャンケン!」
いや、だから、教育とそこ関係あるぅー!?
なんだかんだでコンピューターを破る小鉄ですが、優勝した事で有名になった小鉄はマスコミに追われ素行が問題になり退職せざるを得ない事に。最後に生徒たちと酒を飲み、姿を消します。
少年たちと酒を酌み交わす相手が坂本龍馬のところに時代を感じますね。
先生漫画は定番のジャンルであり、ジャンプでもミスターライオンやぬーべー、ルーキーズ、暗殺教室、ぼくのわたしの勇者学、保健室の死神などが連載されていました。
他誌ではGTOを筆頭に、ごくせん、ドラゴン桜、最近では、今からここは倫理ですや女の園の星などが挙げられます。今後もちょこちょこ取り上げられそうな題材ですね。
まあ、ここまで無茶苦茶なのはもう無理でしょうけど。割と打ち切り漫画の中でも記憶に残ってる人の多い漫画だと思います。
蛇足ですが、札束便器流しの回は、酒を医者に止められてる生徒の父(元小鉄の子供時代のヒーロー役を演じてた役者)が高利貸しに酒を強要されるのを助ける為に高利貸しと戦ってやり込めた上、経営難だったお店を助ける為に300万を得るんですが、小鉄に助けてもらったお父さんが止められた酒を飲もうと持ちかけるんですよね。
「男には体の具合も省みず飲まなきゃならん夜もある!」じゃねえよ!
お前に酒を飲まさない為にギャンブル勝負やってたんだろうが!
この数日後にお父さん死んでしまうんで子供心にもあれ?この話おかしくない?と思ったものでした……。