津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

番外編 サイバーブルー

CYBERブルー 全4巻 原作BOB  脚本 三井隆一 作画 原哲夫 1988年 

 

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生命維持装置がないと生きられない惑星ティノスで生まれたブルーは、罠に嵌められ死亡するところに居合わせた300年を生きるコンピューターファッツと合体。人の心と300年の叡智をもつ機械の融合した生命体サイバービーイングとなり、惑星の秘密を探ることなる。北斗の拳で一世を風靡した原哲夫によるサイバーパンクガンアクション(途中まで)

 

原先生も北斗の拳臭を消したかったんでしょう、拳法バトルからSFガンバトルに路線変更。過酷な環境で生き抜く人間達の生命讃歌とユーモア、スタイリッシュガンアクションを描くつもりだったんだと思います。当初は…。

 

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スタイリッシュガンアクション!

 

サイバービーイングって、サイボーグと何が違うのかとか、ガンアクションと言いつつ途中から肉弾戦じゃねーかとか、決め台詞の「300と17だ」の300歳部分全然生かされてなくない?とか色々思うところはあるんですが、この作品といえば「ファック」です。

 

キックボクサーまもるがチャランポを子供達に教えたとすれば、サイバーブルーは「ファック!」を教えてくれました。

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津尾さんの周りでは大流行して、なんとなく大人の香りのする言葉に憧れる小学生が意味もわからず「ファックファック」連呼していたものです。

ジャンプ史上最も口の悪い正直主人公という異名を得たこともあり、あんまりブームにならなくて良かったかもしれませんわね。

 

領有権を主張する為に過酷な環境の惑星で殺し合いをさせられたティノスへの移住者達は地球を恨み、地球征服のためテロを起こそうとする。地球との戦争を避けようとした最初の移住者は、その記憶と記録をファッツに託し、戦士としてブルーが選ばれた。というストーリー。

コンピューターでの分析、精緻な射撃、サイバーシティーのコンピューターをコントロール、脳内のハッキング、300歳の経験から紡がれるユーモアという、おそらく寺沢武一の「ゴクウ」をやりたかったと思うんですが、バトルがどんどん肉弾戦になって行き、それにつれて消しきれない北斗の拳臭が漂ってしまいました。だいたい無力な子供達や市民、理不尽な権力者と、ヒャッハー達という構図が北斗の拳なんだよ!

 

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筋肉質な男達が、男の誇りをかけて肉弾戦を行なって友になるのはもう北斗の拳なんよ。

 

地球征服作戦を止める為に4人の元老の腕輪を集めることになるのですが、地球に向かったあたりからその傾向が強くなります。生物の遺伝子を掛け合わせて作られたバイオビーイングが登場し、蜘蛛のバイオビーイングドーベルマンのバイオビーイング、獅子のバイオビーイングが敵として立ち塞がります。

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バイオビーイング虚数エネルギー・シャドウフォースを操る新人類!

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全然わからない説明なんですが、なんだかすごいエネルギー波をだしてくるので普通の手段では戦えません。ブルーも光子(フォトン)で対抗します。

遊戯王くらい前提条件のわからない戦いに後出しで能力が追加されて行きます。これもうわかんねえよ。

 

結局人の意志の力がサイバービーイングを進化させて戦いに勝利します。まあ、ちょっと打ち切りも仕方なかったわね……。

 

しかし、北斗の拳亜種に見えますが、ちょこちょこと「笑い」に挑戦していまして、原先生の笑いのツボが読者層とあっているかは置いておいて僕は結構好きでした。

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女を褒めるのにスキャンした内臓を褒めるブルー

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ラスボスが急激に老化してギャグジャンプ

 

でも北斗の拳でも、「あるのかないのかどっちなんだ?」とか「お前のようなババアがいるか」とかやってたから原先生の素かもしれませんね。

 

一応、原哲夫パワーで、ゼノンでリメイク作『サイバーブルー 失われた子供達』『クロスバトラーズ』が掲載されたので気になる方は御一読を。