津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

ワンマンアーミー 1980年 ジャンプ打ち切り漫画紹介2

1980年はまだ未単行本化も多く、3巻以内の打ち切り作品もワンマンアーミーとショウアップハイスクールくらいしかありません。ショウアップハイスクールは唯一未入手作品のため、ワンマンアーミーのみ取り上げていくことになります。無念。

 

当時は年間20作の新連載を立ち上げ、少年誌トップを走りつつもジャンプというスタイルを模索していた時期。リッキー台風や檄!獄虎一家などが始まりますが白眉はDr.スランプ

視聴率36.9%、ジャンプ・コミックスの第5巻はアニメのヒットに伴い、それまで『ドラえもん』が保持していた日本におけるコミック単行本の初版部数(120万部)を上回る初版130万部を発行という空前の大ヒット作品が始まったころです。

 

その頃の打ち切り漫画はというと

 

⚪︎ワンマンアーミー 全2巻 前川K三 1980年 

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ヒトラーニーチェ(日絵)というハングリージョーカーやハイファイクラスタでも見られないマッチメイクからスタートする暴走族漫画。世紀末なみに無法の限りを尽くす暴走族。「助けてやろうなんてやつはいないぜ」「おらおら、誰かが助けるやつはいないのかよー!」からの「ひとりいるぜ!」


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ヒュー!!

 

コブラ馬岱にしか許されない台詞回し。とにかく80年代前半の不良とバイクの熱さとカッコよさを追求した漫画です。本宮ひろ志のアシスタント出身の為、 現役時代のサラリーマン金太郎みたいな世界の中でクールな一匹狼のニーチェが、暴走族と渡り合う物語。

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タイトルのワンマンアーミーは、「ひとりぼっちの暴走族」。アーミーが暴走族の英訳とはおもいませんでした。

 

いずみちゃんグラフティーDr.スランプが始まり、次の年にはストップひばりくん、キャッツアイとおしゃれさや可愛さがウリとなっていく流れでしたがまだまだワンマンアーミーや1981年の街道レーサーGOなど暑苦しい不良を描いた作品は現役でした。主人公が、斜に構えた飄々としたやつというところが70年代の熱血路線からの推移を感じさせます。

 

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暑苦しい不良達

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作者コメントも熱い


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クールな主人公

 

族のチーム名がヒトラー、主人公の名前が日絵(ニイチェ)なんですけど、実在の暴走族名と被らないように配慮したからかどうかは謎ですが、ヒトラーの方がよほどやばいと思います。


そういえばチャンピオンの特攻天女は鬼面党や夜桜会という実在の暴走族のチーム名を使ったため苦情が来たらしく、同時期に連載していた特攻アルテミスの作者が、週刊連載のアレの苦情が間違えてこちらにも来ると苦言を呈していました。まあ、そもそも暴走族にネーミングライツはないでしょうけど。

 

クラスメイトと恋愛模様がありつつも、最後は公道デスレースに参加することになり警察を振り切って独走しておわります。

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