プレゼント フロム Lemon 全2巻 桂正和
1987年
父に憧れ演歌歌手を目指すレモンは元父のマネージャーの妨害を受けながらも成長していく。ジャンプには珍しい芸能界漫画。キメ台詞の「毎日パンツ変えてるかーい」はどうかと思いますが完成度は高いです。
何故これをキメ台詞に…
15年間売れなかった演歌歌手桃次郎は、自分を見込んでくれたマネージャー大崎と、初めてのライブに立つはずだった。
ライブ直前で倒れ、命を失う桃次郎
レモンは父を追い演歌歌手を目指す
一方、闇堕ちする父のマネージャー大崎
ヒロインとは励まし合う間柄にしてライバル
渋いおじさん敵キャラ、演歌、アイドルの衣装、振り付け、と大分少年誌ではハードルが高かったですが、話自体は今読んでも面白くレモンの成長と葛藤、ヒロインとの恋愛がしっかりと描かれています。特にヒロインはライバルでもあり恋人未満でもあり、レモンのスキルを解説する役を持ちながら、好きなのにライバルだから素直にもなれないという三粒美味しい役どころ。このポジションのおかげで大分話がスムーズに展開します。作劇が上手い。
妨害に会いながら、弱点を克服して大きくなるレモン。最終的には紅白にでるほどに大きくなり、綺麗に終わります。この終わり方が綺麗なのも打ち切り漫画にしては読後感がよく、桂正和作品の中で異色ながらもそこそこな評価を残しました。
相変わらずの女の子の作画クォリティー
ツンデレ親父
一部で話題の振り付け
曲名「サンダーLOVE」と合わせてなかなかのインパクトを残しました
なぜかピクシブに23作も作品があるサンダーLOVE、ちなみにプレゼントフロムレモンだと1作です。検索するとやたらコラが出てきます。
上手く展開しましたし、悪くないと思うんですが、演劇物やアイドル物と違い、歌手漫画は見せ方やテクニック論が難しくヒットが困難だったかなと。
少年誌の歌手物の成功は数少なく、上条淳士先生のTO-Y、西山優里子先生のドラゴンボイス、ハロルド作石先生のBECK、梅澤春人先生の無頼男あたりがかろうじて引っかかりますが、音楽物、演劇物と比べても成功例が少ないです。
そんなところも含めて惜しい作品だった思います。
巻末に酒井法子との対談があるのが、ジャンプの期待を感じました。