津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

大好王  1999年

大好王 全2巻 道元宗紀 1999年

f:id:jiholeopardon:20210430234748j:image


子供の頃かわした好きな女の子との約束を守る為各競技の頂点を極めた男たち。告白をしにくると、全員約束は忘れられていた。ヒロインが現在夢中になっているハンドボールで勝ち上がる事で愛を取り戻す為男たちは戦う。

僕これ大好き!

 

いわゆる部員集めを行う創部物で、しかも競技がハンドボールという難しいスタートなんですが、各分野の達人を集める理由と過程、モチベーションを、ヒロインをクズにする事で1話からクリアしており、かなり上手く構成していると思います。1話で各選手の成長をコミカルかつ、丁寧に描いててスポーツ物としての完成度も高いんですけど、いかんせんヒロインにヘイトが集まりすぎたかというのと、ライバルがいいやつなんですけど読み口が良くないのがマイナスでした。防御力は低いけど攻撃力は高いといった作品なので、合わない人には不人気ですが、ストライクの人には高評価を受けています。

 

幼い頃にアメリカに引っ越しすることになった阿部恋文。メジャーにスカウトされ将来を嘱望された逸材は、幼い恋心を胸にずっとアメリカで頑張って、10年の思いを打ち明けに日本に帰国する。f:id:jiholeopardon:20210501000653j:image

だが、相手の丸井心はそんなことなどすっかり忘れていた。
f:id:jiholeopardon:20210501000724j:image
f:id:jiholeopardon:20210501000728j:image

そして、同じように心と約束を交わした、アイスホッケーの伊藤、柔道の岡田、将棋の加賀山は、各ジャンルのエキスパートになっていた。

4人は愛を取り戻すためにハンドボール部を結成する。

f:id:jiholeopardon:20210501000736j:image

 

展開がスピーディーで、部員集め→創部→ライバル登場を3話でまとめており、ライバルが本気になってからは読み口も気持ちいいスポーツ漫画になるんですが、序盤のヒロインに忘れられた主人公の醜態と、ヒロインの胸糞悪さがスタートダッシュが必要な新連載のアンケートに致命的だったのではないかと思われます。

f:id:jiholeopardon:20210501002809j:image

 

ライバルと手合わせすることになり、動きにくいという理由でパンイチになり、試合中気合を入れるために全裸になる主人公達。脱ぐ必然性が全くないのでギャグなんでしょうけど、好き嫌いがだいぶ出ちゃうシーンだと思います。

ライバルのコメントと合わせて女性票が取れそうにない展開。

 

f:id:jiholeopardon:20210501003019j:image

 

少年誌にしてはえげつないライバル

ヤリチンの上に、NTRビデオレター予告。

1話でやられる悪役ならいいんですけど、こいつが当面のライバルのなので、スッキリしません。f:id:jiholeopardon:20210501003013j:image
f:id:jiholeopardon:20210501003009j:image

 

練習試合で信じられない真似をして、一撃食らわされたライバルが改心して主人公達とまともに競おうとするようになってからはスポーツ漫画としてスッキリ読めます。ヒロインも、ライバルからガツンと言われて、読者の溜飲も下がります。

 下ネタギャグを控えて、最初からスポーツに真摯な展開にして、ヒロインをとっちめて改心させる方向なら生き残れた可能性もあった気がします。

f:id:jiholeopardon:20210501003447j:image

 

 

ちゆ12歳でネタにされてましたが、あがり症をなおす為に∇ガンダムを泣きながら熱唱する回とか、意味がわからないテンションの回はあるんですけど、これ以降はスポーツに真剣に向き合ってる姿が描かれます。


f:id:jiholeopardon:20210501004020j:image

f:id:jiholeopardon:20210501005604j:image

 

この辺りの展開は読んでて気持ちがいいんですよね。打ち切り漫画で打線組んだら確実に打順に入れる作品。

f:id:jiholeopardon:20210501004229j:image
f:id:jiholeopardon:20210501004225j:image

 

奴の名はMARIA、A・O・Nと3連続打ち切りを食い1-2-2でジャンプとお別れとなり、ちば拓、黒岩、次原先生と4人で打ち切り漫画四天王と呼ばれることもある道元先生なんですけど、大好王をみるかぎりは、構成も考えられていますし、スポーツも真摯に描いてるんですよね。なぜAONはああなってしまったのか…。

 

友人の藤崎竜叶恭弘両先生が封神演義、M0などで売れているのも切ないですね…。

f:id:jiholeopardon:20210501005751j:image

 

話はそれましたが大好王は名作なので是非ご一読を。