戦国乱破伝サソリ 全2巻 内水融 2003年
尻尾を持つ東日本最強と謳われた伝説の忍、蠍一族は、主人に裏切られ、皆殺しにされかけた事から隠れ里に住み、表舞台から姿を消した。しんがりを務め消息をたった父を探したい無太郎は5代目蠍となり、父を探す為里を降り、最強の忍を必要とする信長に仕える。
生き別れの父を探すのが目的の忍者物。
蠍法と呼ばれる尻尾を活かした技の体系を考えており、作中でちょこちょこ披露されるが好きでした。
導入から信長よりスカウト→父を探す為に里を降りる→信長に集められた6人の忍びの勝ち残ったものが信長の忍となれるというバトルロイヤル開幕&ライバル登場は悪くないのですが、ライバル朔摩鷹丸との戦いには乱入者が現れ、鷹丸はケリがつかないまま姿を消します。結局仲間にもなってないライバルとのエピソードに8話まで使ったことが敗因かと思われます。
サンタもそうでしたが、ライバル登場→戦闘→途中でライバルの過去が明かされバトル中断→新たな敵とのバトルという区切りがな片付く長いエピソードを序盤に持ってくると、エピソード自体が不評でも挽回ができないためリスクが高くなります。よほど構成的にしかたない場合でないかぎり、序盤は単話また2-3話で終わるエピソードを重ねながら、キャラの掘り下げを行うか仲間を作るのが無難です。
微妙にすっきりしない展開のまま戦国最強の乱破軍団「兜」との戦いに突入。
兜との戦いで、強そうな雰囲気を出している信長配下の忍(蠍の上司)の強さが判明するかとおもいきや、あっさりやられて兜対蠍の戦いに。「お前では敵わない!」とか言われつつも怒りのパワーで勝利します。この辺の展開も打ち切りきまって巻きだったのかもしれません。
天才軍師を仲間にすることに成功して、最終話は10年後、成長したサソリと父敵組織「兜」のボスとなった父との再会で終了。鷹丸もきっちり仲間になっています。
表舞台に出ることになった伝説の忍、生き別れの父、信長の忍など基本のアイデアは悪くないと思うんですが、少年誌らしい外連味のある忍術や、強大な敵、かっこいいライバル、可愛いヒロインが不在なのは忍漫画としては痛かったです。途中退場したままちゃっかりラストで仲間になってる朔摩、最後に対面する父親がその立ち位置だったはずなのですが、上手く話を回せませんでした。