ファイアスノーの風 全1巻 松根英明 1993年
赤い野獣のゼノと呼ばれる剣士は、襲われていた男を助けたことから組織から追われることとなる。男から託された剣は、太古の財宝を手に入れる鍵となるアイテムだった。そして、組織の追手にはゼノの仇ホークがいた。壮大な物語を考えたら序章で終わってしまったという悲しき打ち切りあるあるを体現した作品。
物語の軸になるはずだったであろう「伝説の魔人ファラムーンの遺産」。その正体がなんなのかは具体的には全く触れられずに終わります。なんか既視感。「柳生烈風剣連也」の古代兵器アグネアの封印も冒頭以外ほとんど触れられませんでしたね…。
興味はないが、偶然託された剣がファラムーンの遺産の鍵となるため、襲いくる敵と戦っていくうちに、シーナとの絆が深まり、さらにシーナの出生の秘密が明かされる。という予定だったと思われるのですが、そこにいくまでに話が終わってしまったのでファラムーンの遺産が何なのかも、シーナがどんなポジションにいるのかも分からず、口が悪いが義理堅い男が次々と厄介ごとを引き受けながら旅をしていくという物凄く、受動的でワクワクしない展開になってしまいました。
剣もシーナの護衛も、主人公は仕方なく引き受けているだけでやりたいことではなく、ヒロイン・シーナもゼノが好きで一緒にいるわけではないという、誰もがやりたくない事をやっているというファンタジー物にあるまじきスタート。
死ぬ間際の頼み 剣を処分してくれ
死ぬ間際の頼み シーナをまもってくれ
話が続けば10歳の謎が明かされたであろうシーナ
さらに初めて読んだ時から導入部が謎なんですが、冒頭、岩の上から立ちションするゼノの小便を、下流でヒロインが飲んでしまうというところから始まります。
なんでこんな出会い方にしたし。
ちょっとマニアックすぎると思います。嫌なやつから好感度を上げて行くのはわかるんですが、無愛想とか、口が悪いとかでいいと思うんですけどなぜ飲尿?
1ページぶち抜きで立ちションで登場するゼノ
最悪の出会いではあるんですけど、なぜこんな好感度の下がる登場にしてしまったのか…。
防御力が低い。
結末もあのお方とか、世界を支配する力とか、ほのめかしワードが満載でおわります。
サム8並みにセリフの多いくどい説明など初連載なら仕方ないよねと思わないでもないですが、現実は厳しかったです。
最終回で唐突にあらわれる「あのお方」
説明ネームがくどい
構成力が情熱に追いついてない感のある。
ある意味微笑ましい打ち切り漫画です。