私のカエル様 全2巻 川島雄輝 1997年
ロボットの反乱が起こり人間はハイドと呼ばれるロボットに殺されるのを待つのみとなった時代。ゴミ捨て場から拾われたカエル型ロボは、人の心を持ち、剣を持つと人を守って戦う、人間の友達となれるロボだった。
ロボットに襲われ、隠れ住むのみとなった人間世界の終末。温厚だが武器を持つと人が変わる二重人格ロボット。人間の味方となるとロボットを作ろうとする少年。守っていた家政婦ロボットに両親を殺された少女。人間を殺せば殺すだけ人間になれると思い込んでいる狂気のロボット。ロボットに腕だけを奪われて生かされた復讐者。設定だけ見るとハリウッド映画みたいなシビアな環境での人間ドラマという感じですが、絵柄とカエルがかなりこれを緩和しています。
ロボットの迫害というもテーマの一つ
ロボットを怖がらない人間は珍しい
基本ロボットに人間が殺されていく世界なので相互理解が難しい。ロボットが狂う原因は最後までわかりません。
復讐者を産むロボット
産まれた復讐者
心を通じ合わせるロボットと人
敵には狂ったロボットも
ハードSFを少年誌で受け入れて安い形にしたという点では評価できるのですが、メルヘンチックな絵柄とカエル造形が、ハードSF好きを遠ざけてしまったかも、というアンビバレンツな作品。
ストーリーライン的には面白いので、ファンも散見されます。惜しむらくは、朴訥な性格をしたカエルに目的意識が薄く、展開が受け身になってしまった事、2話から始まるロボットを作ろうとする少年のキャラが薄かった事でしょうか。じっくり作劇ができたため、通常のカエルが人を守ろうとする理由付けはできたのですが、その分ロボットが反乱を起こした理由、カエルが変貌する理由、カエルが反乱ロボットのようにならない理由などがぼかされたまま話が進み、答えが明示されないまま終わってしまいました。