Wrestling with もも子 全2巻 徳弘正也 1997年
全日本女子レスリングチャンピオンのもも子が、同級生とレスリングを創部。スケベ心で集まった男3人にレスリングを教えていく。3人の成長を描いたスポーツギャグ漫画。
いつもながら、話が丁寧で悪意がない優しい物語。
レスリングがマイナースポーツで全日本チャンプでも扱いが厳しいところからスタート。
部活を作るところからですがメンバーは1週で集まります。
レスリングの試合はなく、素人3人に基礎を教えるため、マラソンとマット運動をしていくターンが続きます。このあたり、創部、メンバー集め、基礎訓練と本来あまり面白くないパートをギャグを交えつつサラッと読ませているのは上手いです。
いじめっ子と戦うことでメンタルも技術も成長していることを示し、話の上でのモチベーションをあげます。また、経験者が練習に参加してくる描写で3人の上達を示唆するという丁寧な展開。なんというか、創部物に必要な話のパーツが作業感なく配置されているところが、よくある話でなくこなれた印象を与えています。下ネタと絵柄の壁を超えられたらほんとに丁寧な作家なので、食わず嫌いされるのがもったいないんですけど、下ネタは本人が切り離せない物としてるんですよね。徳弘先生原作とかやらないかしら…。
ラストは鍛えられた3人が、全国王者のいる道場から勝負を持ちかけられた、もも子をかけて試合をすることになります。
試合をしないのにスケベ心でモチベーションが保てて、確実に成長していく描写も上手いんですけど、流石に下ネタがジャンプに合わなくなってきた感はありました。徳弘先生のWJ最後の作品になり、続きを描く予定だったくらいに作者も気に入ってたようですが、却下され、その結果、名作狂四郎2030が誕生します