無刀ブラック 全2巻 野々上大二郎 2013年
黒月流合気柔術の師範、雪路は敵さえも傷つけない凄腕の使い手だが門下生0。ひょんなことから孤児の継春を門弟に迎え、他流の使い手と戦うなかで、黒月流の心構えを伝えていく。しかし、雪路には凄絶な過去があった。
久しぶりに情熱が迸りすぎて、伝えたい事に筆力が追いつかないタイプの打ち切り漫画。ジャンプだとダイヤモンドとかメタルフィニッシュが、この系統。
孤児の弟子、不殺の古流あたりが剣心とかぶってしまったこと、その割におじさん主人公が剣心ほど美形ではなく、やるときはやるけど普段は情けない系統の「かっこよさ」にかける主人公だったこと、弟子との絆や奪う側ではなく護る側の道こそが正しい道である事を証明することなどのドラマ部分に力を入れたいばかりにバトルがイマイチだった事が敗因かなと。
古流同士のバトル回もあるんですが、バトルをカッコよく見せるのが目的ではなくて、
「理念を伝える」「人々を護る」方がメインなっているので、どうしても話が地味になってしまいます。
結局、人を護る武術で周囲の人たちを幸せにする途中で打ち切りが決まり、タイトル回収のラストエピソードに突入してしまいます。
元殺人マシーンだった黒月を復讐のために迎えにきた兄は、殺人マシーンに戻すべく周囲の人々を殺害しようとする。兄を止めるために殺人マシーンに戻る黒月。
弟子の継春は、自分を唯一見捨てなかった黒月に恩を返すため、黒月を殺人マシーンにしないため、命をかけて黒月の心を取り戻す。
自分が黒月の信じた道を守る事を咆哮する継春
相手を傷つけない黒月合気柔術の心得を継春に託し、過去の激しい闘争で追った傷の為、雪路は最終回前に亡くなり、
最終回は雪路の志を継いだ継春の生活を描いて終了。
色んなところは足りないですが、微笑ましい作品でもあります。