卓上のアゲハ 全3巻 古谷樹 2014年
ドイツに留学していた花園アゲハはプロチームの勧誘を断り日本に帰ってきた。卓球黄金時代を築いた13人の世界チャンピオンの後継者「黄金の後継者」と戦う為に。卓球ラブコメ漫画。まあ13人はちょっと多かったよね。基本ソロとダブルスしかない卓球で護廷十三隊と同じ人数は……。四天王くらいにしておけば……。
本気を出すと僕から俺になるアゲハ、居候先の娘と許嫁同居生活、強敵と戦うごとに引き出しを開けていくもともと強い天才タイプと、今風なんですけどテンプレからイマイチ抜けられなかった印象です。同じ卓球物としてもフルドライブやP2ほどキャラの掘り下げがなく、味方キャラが特に弱いです。
ロリババアと男の娘とか、要素詰め込みすぎたのもあるかも知れません。
おそらく4つの戦型+オールラウンダー×ラバーで特色を出す予定だったのでしょう。各キャラのキャッチフレーズも「最速」「幻惑」「螺旋」など考えられていたのですが、残念ながら主人公を含め5人の登場で終わってしまいました。
日本の高校に転校→卓球部員集め→同校の継承者との戦い→県内の強豪校の継承者との練習試合→マネジ入部→シングルス、ダブルス、団体の三冠を取るためのメンバー増員+課題の克服→支部大会という展開で比較的無駄がなかったのですが、マネジ入部の下りはちょっと勢いを削ぎました。三冠のためにメンバーを増やすよりは、キャラをもう少し印象づけるべきでした。尺の都合で支部大会は2ページで終わりました…。
必殺技も含め少年漫画らしい外連味と可愛いヒロインのラブコメ要素と悪くなかったところが卓球漫画の難しさを感じさせます。P2も好きだったんですけど打ち切られましたし…。フルドライブも…。P2は今も許さないとおもっているよ…。
卓球漫画の定番必殺 ゼロバウンド
体感、スポーツ漫画の読者への浸透率というか受け入れられやすさは格闘系を除けば大まかに
野球、サッカー
>人気スポーツの壁
テニス、バスケ、バレー、ゴルフ
>メジャーなスポーツの壁
陸上競技、ロード、レース系
>マイナースポーツの壁
ラグビー、卓球、水泳、その他
です。(暴言
もちろんマイナースポーツでも灼熱カバデイやアイシールドの成功があります。また、卓球にはピンポンというアニメ実写共に成功した金字塔がありますから、描き方次第なのですが、水泳は戦略や戦術性が、ラグビーはルールと駆け引きが、卓球は熱さが伝わりにくい感じがします。
少年ラケットや卓球DASHという成功例もあるのですけど、大ブレイクはしない分野のようになっている感があります。古屋先生はこの後読み切りしか作品が出していないため、キャラの可愛さを活かして次につなげて欲しい物です。
あと、塩の直後に純白筋はタイムリーでした。