ZIPMAN!! 全2巻 芝田優作 2020年
天才の弟・鋼志郎と凡人の兄・鉄芽、双子の兄弟は、子供の頃正義のヒーローに憧れていた。
同じようにヒーローが好きな女の子・千奈に出会ったことをきっかけに、兄は体を鍛えてヒーローを目指し、弟は頭脳でヒーローになろうとした。
双子の兄弟がヒーローを目指す。
しかし、ある日鋼志郎は事故に巻き込まれて死亡してしまう。悲しみに沈む千奈と鉄芽のところに、巨大ロボットが襲いかかる。
その時、死んだはずの鋼志郎から鉄芽に連絡が入り、千奈を助けるために着ぐるみに乗れと告げられる。
乗り込んだ、鉄芽はロボットを撃退してヒーローになる。
これが、鋼志郎と鉄芽のヒーロー活動の始まりだった。
「ヨアケモノ」の芝田優作先生による変身ヒーローテイストのロボもの。巻頭カラーがメチャクチャ力が入っており、一部で評判となりました。
巻頭カラー。塗りは外注だったらしいです。
「ヨアケモノ」でもそうでしたが、短いページで思い入れを語らせるのは上手く、無力な状態で好きな女の子を守る為に死ぬ覚悟をするシーンなんかは流石の筆力です。
ただ、ドラマ重視で縦軸が定まらないのもヨアケモノの時に近く、兄弟と千奈の三角関係は丁寧に、バトルは敵のいやらしさを出しつつスッキリ決着をつけてくれるのですが、敵が何が目的で何のためにこんなことをやっているのか、資金は、規模は、組織の全体図は、辺りが語られないため、何で戦っているのかよくわかりませんでした。
「会長」からスーツをあたえられた「会員」が己の欲望を解放する。
「東京を破壊したい」
「勇者ごっこをしたい」
など要望は様々。目的は不明。
あと、ロボというか、このジップスーツの見た目はかなり好みが分かれたんではないかと思います。キャッチーではなかったよね…。
敵スーツ
主人公最強フォーム
おそらくこの辺りが軌道に乗り切らなかった原因だと思いますが、高校の生徒を人質に攻撃させないで一方的に殴りに来る敵や、同じく勝手にRPG的配役を押し付けて勇者役をやる敵など、「今日から俺は」悪役並みに嫌なやつを殴り飛ばす爽快感はありました。
攻撃すれば爆発する人質入りメカで攻撃を仕掛けてくる敵
勇者ロールプレイのために、勝手に配役を行い逆らうことは許さない敵
また、凡人の兄と自嘲する鉄芽ですが、ヒーローを目指して鍛えたことでおそるべき身体能力と、ぶっ壊れたメンタルをもっており、それが発揮される所が見所となっていました。
素の身体能力の状態で屋上からダイブしてスーツと合体
ドラマ見て練習したことあったからという理由で真剣白刃取りをきめる鉄芽
正義の味方の壊れたメンタル
大好物よ。
展開も王道展開で、最終決戦前に囚われる鋼志郎。動き出した会長の前で待つ洗脳された弟。
兄弟対決。洗脳の解除。兄弟が2人揃えば無敵だ!と、ストレスなく進みます。
長所は強かったんですけど、短所もそれなりという感じで2巻で終わってしまいました。
この後言及されず、出す必要があったか分からない変身願望のある2、3話の敵、聞き込みだけで終わった5話辺りが厳しかった印象です。一年かけて見る特撮物ならそのペースでも良かったんですが…。
とりあえず、チャンピオン連載の「悪徒」がスカジャンを装着して戦う変身ヒーローだったのですが、影響を受けてたのか知りたかったですね。
悪徒の変身シーン
ジップマンの変身シーン