恐竜大紀行 全1巻 岸大武郎 1988年
ジャンプにしては異色中の異色作。恐竜の生態を描いたルポ風漫画。
鳥山明先生と森田まさのり先生が好きな漫画にあげており、読者からの評価も高い。
復刊ドットコムで2018年に復刊。
画力も高く、丁寧に恐竜の生き方や自然の厳しさを描いているのですが、ジャンプっぽくはなかったです。次作の「てんぎゃん」もそうですが、学研風の作風というか、エンタメよりは伝記や学習漫画風というか…。異色ながらも高い完成度から固定ファンはついており、復刊は喜ぶ声は多かったです。
これは学研
何者かが過去にタイムスリップして、現地を取材している風にえがかれている。
1話は人気の高いティラノサウルス
話の中での「自然の摂理」の意味の回収。
上手い。
プテラノドン、ブロントサウルス、イクチオサウルス、ステゴサウルス、パキケファロサウルス、ディメトロドン、アンキロサウルス、アーケロン、アンモナイト、トリケラトプス、パラサウロロフスと図鑑でも単体で扱われる程度にメジャーで、しかし、知っているかと言われると知名度の低いのも入る絶妙なラインナップで一話づつ恐竜の生活と生死を描写、滅亡まで描きます。
決してターゲットになった恐竜を応援するでなく、あくまでも観測という筆致のため、ほのぼの恐竜ランドに見えても残酷な現実が提示されたりします。また、完全に観測ではなく、恐竜達に喋らせることで、エンタメ性も担保しています。
単なる恐竜物でなく、この「観測視点」がこの漫画を一味違う名作に仕立て上げています。
ラストの恐竜滅亡の話は、話の展開も面白く、最後に化石になった恐竜を眺める次世代の覇者、「哺乳類」でおわる示唆もきれいで、話の完結にふさわしいお話になっています。
多分子供に読ませたいジャンプ漫画で票取ったら一位ってくらい、名作なんですけど、子供は名作読みたいわけじゃないんですよね…。
色んな意味で非常に惜しまれる作品です。