津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

GUN BRAZE WEST 2001年

GUN BRAZE WEST 全3巻 和月伸宏 2001年

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西部のガンマンに憧れる少年ビューバーンズは、ある日街に来た負け犬ガンマン・マーカス・ホーマーと意気投合して、アウトローの約束の地・ガンブレイズウエストを夢見るようになる。マーカスの残した地図を手がかりに、西武に旅立つビューは、ロープ使いの用心棒・ウィル・ジョンストンと、日本から来たナイフ使い・コリス・サトーと共に強敵と戦いながらガンブレイズウエストを目指す。

 

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 男をいっぱい描いたら女が描きたくなる。剣劇を描いたら銃を描きたくなる。創作者のサガなんでしょうか。るろ剣和月先生の次作は壮年剣士剣劇物から180度方向を変えて元気系少年の西部劇ガンマン物。

アウトローやガンマンの約束の地、どこにあるかはわからないが10年に一度最強のガンマンに史上最高の銃を授けてくれる場所・ガンブレイズウエストを目指すという西部劇版ワンピース。

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ガンブレのスレはコリスとアーマーバロンが8割を占めると言われるくらい主人公と憧れのおじさんの人気がないんですけど、おっさんほんとに人気ないねん。始まりも終わりも結構好きなんですけどね。

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和月先生に珍しい、戦えて、しかも強いヒロイン。コリス・サトー。

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西部劇を逸脱するみんな大好きアーマーバロン。
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少年誌のおっさんはシャンクスくらいのイケオジでないときついみたいです。余談ですけど、昔月刊ジャンプで連載してたあろひろし先生の「シェリフ」って、現代に保安官制度が成立している世界で、銃は撃てないけど卓越したサバイバル技術を持つおっさんが主役の話好きだったんですけど作者曰く、おっさん主人公の人気がなくて打ち切りだったそうです。尖った草の葉で頸動脈切って敵倒したりするんですよ。好きだったんですけどねえ。

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ことほど左様に少年誌のおじさん主人公は人気がなく、二十代後半で通せるシティーハンター冴羽リョウや、それこそ、見た目の若さで押し通せる緋村抜刀斎くらいでないと読者ウケは厳しいようです。

 

話は戻りますが、ガンバトル物は通常のバトルものと違い、修行による攻撃力のアップができず、得物を変えるか、ガン以外の攻撃手段を使わなけばいけないこと。狙いにあたれば勝負が決まるため、玄人同士の戦いなのにお互い銃撃が当たらないバトルになる。などバトル物としてのハードルが高いです。三獣士の項目でと触れましたが、REDやPEACEMAKERという成功例もあるとはいえ、西部劇自体が馴染みが薄いという側面もあり、難しい題材です。

 

などの悪条件の割にはよくやった気もするんですけどやっぱりプロローグに5話は長かったですわね。


話に絡む予定だった「山賊女王」マイラベルシャーリィや「ジェイムズ=ヤンガー・ギャング団」ジェシージェイムスが名前だけ匂わされるのが切ないです。話が続けばアメリカに渡った左之助の出番も考えていたらしく、それはそれで読者垂涎の展開だったと思うんですが、仕方なし。

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最終回が決まってから打ち込んでくるめちゃくちゃ設定。こういうの好きよ。

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まあ、剣心剣客兵器編が終わった後の続編に期待しましょう。