紅葉の棋節 2018年
紅葉の棋節 全2巻 里庄真芳 2018年
天才と言われた亡き兄の後を追いかけプロ棋士を目指す蔵道紅葉。なかなか芽が出ない紅葉のもとに兄の弟子だった女性初のプロ棋士市原銀杏がやってきて弟子になれと言われた時から紅葉の将棋が動き始める。青春将棋漫画。
天才の兄の将棋を受け続けていたから、「受ける将棋」が得意になっていた紅葉。兄を追いかけるばかりに自分のスタイルを見失っていた。
攻め将棋の天才の兄と指し続けたから受け将棋の才能が芽生えていた紅葉。兄の後を追って攻め将棋を指す紅葉に、紅葉の将棋を指すように伝える銀杏。という展開はわかりやすくていいのですが、才能に開花したアマ全国準々決勝で因縁の相手に勝利、奨励会一次試験で勝利した後は、二次試験でライバル登場→勝負して時間切れ無効試合、奨励会で新たなライバルが登場して敗北→新たなライバルが登場と、ライバルを消化せずに話が進行するのはバトルものとしてはスッキリしませんでした。
プロになったら幾度も再戦するから上下をつけたくなかったとしても読者的にはモヤモヤしますし、スカッとしませんでした。
主人公が勝てないまま次々と登場するライバル。
また、銀杏師匠が、才能がないと思いつつ、亡き蔵道桜の思いを実現したくて弟の紅葉を弟子にして、どんな手を使おうと誰を利用しようとも亡き師匠の夢を叶えようと呪縛されているあたりが、ヒロインとしては黒く、少年誌には重かったです。序盤の「受ける将棋で魅せる天才だ」ってなんだったんですか。
死んだ桜の願いを叶える為に周囲を利用して紅葉を育てる銀杏。まあ、この辺は好みが分かれるかもしれませんが…。結局才能もなく、努力で上に上がろうとするも天才に勝てない主人公って形になってるんですよね。ジャンプ読者に求められてるものの真逆。
結局、奨励会に入りデビュー初日にライバル染井吉野以外全敗を喫し、2週間の特訓ののち染井吉野を下した新たなライバル将棋の神の孫、百日紅に勝利して終了。
盤外ドラマに尺を割きすぎて爽快感がなかったのが辛かった感。
対局を少年漫画風イメージで描写するのはよくある手法ですが、少年漫画風が過ぎると陳腐になってしまうので、一瞬のイメージで表現するよりも、継続する重苦しい空気とプレッシャーで表現する方が、盤上遊戯には向いている気がします。
対戦イメージ