津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

総合時間事業会社 代表取締役社長専属秘書 田中誠司 2018年

総合時間事業会社 代表取締役社長専属秘書 田中誠司 全3巻 天塚啓示 2018年 

f:id:jiholeopardon:20210829124139j:image

 

遊び人の高校生時岡長人の前に現れた田中誠司、彼は未来の時岡の会社の秘書で、社長である時岡をライバル会社の刺客から守り、会社を乗っ取られる未来を変えるために過去に来たのだった!

 

時岡社長。あなたは狙われている!デデデン
f:id:jiholeopardon:20210829124150j:image

 

タイムスリップによる過去改変を防ぎ未来を変えるというタイムスリップ物としては王道のテーマなのですが、なぜ少年誌でカッコいいサラリーマンを描きたい!と思ってしまったのか…。

スーツで戦うアクションは、上手くいけばスタイリッシュなキングスマンなんですけど、決してかっこ良くはない名刺やハンコを武器に戦う諧謔。その道は既に企業戦士YAMAZAKIが通過した場所だッッッ!!

 

f:id:jiholeopardon:20210829125150j:image

f:id:jiholeopardon:20210829125153j:image

f:id:jiholeopardon:20210829125156j:image

 

伝説の「人間世界宝」を3人集めて仲間にする事で未来を変えるという目的が1話から明示されるのは簡潔でよし。1人目、発明家のゲンナイを仲間にして、お互い係長まで出張ってきて敵も味方もパワーアップ。バトルが白熱化していきますが、主人公が守られるお姫様ポジションなのが、スッキリしない所です。

 

目的の速やかな提示はよし

f:id:jiholeopardon:20210829125318j:image

 

でも話の作り的にどうしても主人公が受け身になっちゃうんですよね。少年漫画らしいスカッと感がない。
f:id:jiholeopardon:20210829125322j:image

 

一応パワーアップイベントはあるのですが、それをさておいて2人目の人間世界宝、最川強兵に話が飛びます。最強に最も近い男・国家武力の異名を持つ男。ジャンプ漫画から急にラノベのキャラになりますが、少年誌的には心の力が魅力の社長よりこちらが正しい気もします。
作者もお気に入りの模様で明らかに力が入ってます。

 

この漫画を語る上でのキーキャラクター・最川強兵。キモであり異分子。

f:id:jiholeopardon:20210829125546j:image

f:id:jiholeopardon:20210829125535j:image

作者のモノローグもノリノリ

f:id:jiholeopardon:20210829125539j:image

 

未来から大量の刺客が送られて、ゲンナイ、田中、時岡の3局面のバトルに突入し、撃退して田中の正体が判明したところエンド。残りの人間世界宝も出てこないまま俺達の戦いはこれからだ。

 

バトルはまあいいんですけど、これ役職順に強くなっていくので、最後はやっぱり社長対決だったのかしらね…。

 

田中の正体

f:id:jiholeopardon:20210829125940j:image

 

やっぱ主人公の魅力が…。

心が武器なら心の強さをメインにする回が欲しかったですね…

 

時岡のキャラに絞るか、最川をメイン相棒に据えるか、田中メインなら人よりも人らしいロボと破壊衝動の葛藤にフォーカスするか、覚醒後みたいなえげつなさをうりにするバトルにするか、全体を通して視点が散漫すぎた感はありました。この漫画好きな人は最川が好きなんじゃないかなあ。

 

ちなみに近年のジャンプ単行本一巻売上ワースト記録を持っています。