戴宗を主人公に宗と戦う梁山泊を描いた水滸伝異聞。水滸伝のアレンジ物なんですが、歴史物は低年齢層には難しく(そもそも原典を読んでない可能性が高い)。高年齢層には侮られる(色々なバージョンの解釈を読んで目が肥えている)という難しいポジションで少年誌だとなかなか厳しいものがあります。
戴宗が主人公
林冲がライバルとして進行
オリジナルエピソードで進行しないと、英傑がなかなか集まらないで終わってしまうので、人気のある戴宗、林冲を中心に英傑を集める話をするのですが、並行してエピソードを描こうとして描ききれなかったため、登場して生辰鋼強奪計画だけ練って、最終回まで登場しない晁蓋たちや、顔見せだけして何もしない悪役三人など、無駄なエピソードを作ってしまいました。
平行進行、108人を描く、ともに難しいです。
知名度で勝る三国志ですら、少年誌ではマガジンの覇王の剣、チャンピオンのさんごくしが失敗に終わり、ジャンプの天地を喰らうが四大少年誌で唯一失敗とまでは言えなかったライン。横光三国志を除いて明らかに成功したのは、バトルをメインに据えた龍狼伝、美少女オッパイの一騎当千となかなか厳しい状態。青年誌だと、新しい切り口でブレイクした蒼天航路、覇とかsweetもありますが、少年誌の成功はマレです。
マガジン「覇王の剣」
チャンピオン「さんごくし」
ジャンプ「天地を喰らう」
青年誌では結構続いた「覇」
蒼天航路なんかの成功作も
水滸伝に関してはさらに成功が少なく、横山光輝先生ですら中途半端な終わりになっています。妖世紀水滸伝や魔界水滸伝などアレンジ版小説は人気がある所から、対象年齢がやや高めになるのかなという傾向を感じます。まあ原作読んでないと魅力半減の上に、108人魅力的なキャラを出すのは大変ですからね…。北方水滸伝は凄いよ。
アレンジ小説は成功している
本作も戴宗、林冲をメインに少年誌向けにアレンジはしていますが、英傑が沢山出る前に終わってしまったのは残念でした。ちょこちょこ一枚絵の英傑登場シーンを出して期待感を煽るなど考えてはいたようなんですが王倫を倒したところで終了。人気の高い、黒旋風、九紋竜、行者、晁蓋あたりがほとんど出ませんでした。龍狼伝のようにケレン味のあるバトルに振り切ってしまっても良かったと思いますが、ドラマ性とキャラを出したいという気持ちのバランスが難しかったかなと。
一枚絵で著名キャラを出してはいるんですが、
ほとんどのキャラに活躍の機会はあまりありませんでした。
最終回に出しきれなかったキャラがまとめて登場。
ちなみに水滸伝と言われると津尾さんは遺言の大切さを教えてくれるGロボが大好きです。
「いまさらそれはないじゃないですかお父さん」