津尾尋華のジャンプ打ち切り漫画紹介

週刊少年ジャンプの三巻完結以内の打ち切り漫画の紹介。時々他誌や奇漫画の紹介も。

ne0;lation 2019年

ne0;lation 全3巻 作画 依田瑞稀 原作 平尾友秀 2019年 

f:id:jiholeopardon:20210829142728j:image

 

ヤクザに借金がある不良の薬袋大悟は、IQ191の天才転校生尾根新太と出会った事から、町の悪党を退治する「趣味」に付き合うことになる。尾根は、魔法使いとも称される天才ハッカー「ネオ」だった。

 

天才サッカーと不良のコンビ
f:id:jiholeopardon:20210829142746j:image

騙された姉を守る為に手を組むことに
f:id:jiholeopardon:20210829142749j:image

 

導入1.2回で、スマホのハックから電話番号の割り出し、発火現象まで操りヤクザを翻弄するネオ。3話目からは自殺を促すアプリをつくるハッカーとの対決、そして謎の組織が登場して犯罪コンサルタントという「敵」ジェボーダンの獣の存在が明らかに。

獣を倒しジェボーダンに迫るネオ。

 

ここまで全編薄々、

そうはならんやろ!

なっとるやろがい!

という展開のため、好みは分かれると思います。ハッカーの能力の厳密さや自殺アプリの作成の可能性にこだわる人には向かない作品。中途半端にリアルなのも逆に信憑性を疑わせます。ネウロの電人HALと電子ドラッグくらいのリアリティと思って読もう。

 

遠隔過重作業で負荷をかけ機械を発火させる「メラ」

f:id:jiholeopardon:20210829143254j:image

ハッキング
f:id:jiholeopardon:20210829143249j:image

この辺りを楽しめるかどうかでだいぶ評価が分かれる作品だと思います。

 

そこから回想に入り、ネオの原点が示されます。恋心を抱いた幼なじみを喜ばす為にパソコンを覚えた事、病気の幼なじみを助ける為にハッキングを行った事、更にその幼なじみが事件に巻き込まれた時にスマホ発火を使い助けたこと、これから会う人な為に魔法を使うよう頼まれて死別した事…。

 

いい話なんですけどやってることのスケールの割に、原体験は普通なんですよね。この辺りのギャップが、厳しかった原因かと。

 

いっそ、才能ある孤児を集めて電脳犯罪者を育てる組織で育成され、成績下位者は殺される試験を乗り越え育成組no.1になるも、その過程で幼馴染を失い組織を抜けた天才ハッカーくらいの方が、やってることのリアリティには見合っていたかとおもいます。

f:id:jiholeopardon:20210829143640j:image

 

本格的にジェボーダンと対決することになり、仲間に別れを告げるネオ。薬袋とユッコはこれからも一緒に戦うことを宣言してネオは帳以来の友達ができたことを知る。3人で事件を解決して、俺たちの戦いはこれからだエンド。

f:id:jiholeopardon:20210829150120j:image

 

 

肝心のジェボーダンとの戦いがないまま終わってしまいましたが、そもそもハッカーは仲間の1人としては便利なのですが、主役とすると、ハッキング対決をしても伝わりにくく、結局他の要素で戦わなければならないというジレンマがあります。作中でもレース対決や、誘拐のメイン解決は他者に委ねられていました。

 

サポート役になりがちなのでメインに据え難い役どころ

f:id:jiholeopardon:20210829150258j:image
f:id:jiholeopardon:20210829150304j:image

 

バディ物にして薬袋が行動、ネオが情報収集とフォロワーとした方がスッキリした気はします。同じく性格の悪い天才ハッカーというフックが主役にするには感情移入しにくかったかなと。おそらくネウロの様な性格の悪い強者にしたかったんでしょうが弱点が示されないと単に嫌な奴なんですよね。

f:id:jiholeopardon:20210829152227j:image

f:id:jiholeopardon:20210829152230j:image

 

バディ物で薬袋には弱いとか、難病ながら帳が生きていて、帳のために悪をもって悪で倒すことを心がけているとかならヘイトも低かったんでしょうけど。実際ラストはそれに近く、仲間を友達と認めて人間として成長したエンディングになっています。もう少しここの面を掘り下げたかったですね…。

f:id:jiholeopardon:20210829152316j:image